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『アンドロメダな朝』美少女とご主人様の愛の物語・毎日過激に更新中 

【絶対R18】愛故に奴隷になった美少女と愛する者を責め苛まずにはいられない男の愛の行方は。

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☆ その16=奈落の底から。

 三宅が最後に見せたぞっとするほど冷たい眼が脳裏に焼き付いて離れない。 その眼は怜悧に咲織を傷つけ続けた。 誰にでもあんな眼では見られたくはない。 まして、唯一と云って云い存在から向けられたのでは。痛かった。 どんなに身を捩っても耐えられぬほどに。 現実に肉体を切り刻まれた方が余程耐えられたろう。 切り刻むのが、あの人であれば…。 むしろ甘美にさえ感じられたに違いない。

『痛い。 痛い。 胸が、心が痛くて耐えられない。 許して、どうか許してください。 今度はちゃんと剃ってきますから・・・・・。』

息をも忘れ、咲織はただ耐えていた。 時間の流れも忘れて。
 
「何時までそこにいる気だ。 罰して欲しいのだろ。 従いてきなさい。」
 三宅の冷たい言葉の中にも暖かみを感じさせる声に、咲織は動かずとも鋭利な刃が肉を刺すような黯き底から引き上げられた。

 長い間胸を襲う痛みに耐え、身を強張らせていたからだろう、立ち上がろうとして咲織は大きく蹌踉けた。 三宅は宙を掻く咲織の腕を掴むと強い力で抱え上げるようにして、躯を引き寄せ、咲織の細い腰を抱きしめた。

「ああ、ご主人様。」
 咲織は思わずつぶやく。

 先ほどまでの黯き底で、ずっと追い求め、求める度に冷たく傷つけた大きな陰に向かって、何度『ご主人様』と叫んだか判らない。 咲織の腰に巻き付いた腕の力強さは、それが幻のものでなく、現実の生な感覚を呼び覚ました。

 また、咲織の眼に涙が溢れた。

 ガラス扉の向こうは、すでに夜が降りてきていて、街の灯がゆらゆらと滲んでいた。

『暖かい。 ご主人様の腕。 帰ってきてくれた。 許してくれた。 よかった・・・。』
その腕の確かな感触を味わいながら、咲織は涙を流していた。

 三宅に放されて、咲織が崩折れたのはホテルの一室らしかった。

 時を経て佳い色に焼けた白壁と落ち着いた色のオークの腰板に囲まれて、金襴のカバーが掛けられた大きなベットが咲織の眼近にあった。 見上げると、太い梁がベットの向こうの上部で部屋を二分していた。 部屋は梁のところで折れ曲がり、セミスイートに為っているらしかった。 低い燻んだガラスの大きなテーブルとゆったりとしたソファーの向こうの窓の外に明るい駅のコンコースの丸く白い天井が広がっていた。

「明日早くに、大阪に発たなくてはならないから、部屋を取った。 ここなら、寝坊が出来るからね。 随分と長くあそこで固まっていたようだが。 店が閉まるまで居るつもりだったのか。 もしかして、待っていたのか。」
 思いもかけず優しい声音だった。

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