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『アンドロメダな朝』美少女とご主人様の愛の物語・毎日過激に更新中 

【絶対R18】愛故に奴隷になった美少女と愛する者を責め苛まずにはいられない男の愛の行方は。

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☆ 胸弾む仕事。

☆  年度始めは何か疲れますね。 新入社員さんは特にでしょう。 今日はアンドロメダな朝はお休みします。

☆ 明日もきっと読みに来てくださいね。 

☆ 最近知ったのですが、往年の大ヒット曲に「今日でお別れね」と言う曲があります。

  その2番の歌詞が秀逸です。 

  「 最後のタバコに 火をつけましょう
   曲ったネクタイ なおさせてね
   あなたの背広や 身のまわりに
   やさしく気を配る 胸はずむ仕事は
   これからどなたが するのかしら」

  凄いのは、背広や身の回りに優しく気を配ると言う世の主婦なら、今は当然、昔でも退屈至極な、いやいやそもそもしない様な事を「胸弾む仕事」と言い切っている処です。 常識の逆を言うのは注目を引くための手段なのですが、これはその逆説の中に真実の吐露を見せている処。 たった一言で、愛の深さを知らせます。 凄い作詞です。 

 作詞は男のなかにし礼ですが、彼はきっとMですね。 

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☆ 胸騒ぎが・・・。

☆  年度始めのため、思ったより本業が立て込んで、初めての2夜連続お休みを頂きます。 

☆ 明日からは何時も通り毎日連載しますので、是非是非読みに来てください。 
 

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☆ その2216=連れ込まれた奴隷。

 ふわふわと何処を歩いているのかも判らず、ラウンジを進んだ。 三宅が会計をしている間も、振り払われなかった手を握り締める様に重ねていた。 

 手を繋ぐ事が、三宅の熱を感じる事がこれ程までに嬉しいとは。 咲織は三宅の横顔を盗み見る。 ぴんと背筋を伸ばした鼻が引き締まった口元が誇らしかった。 

 言葉は何も浮かばなかった。 夢見心地の心の前に躯は実体を失った様に存在感が無かった。

 何も言わない三宅の隣を手を繋いで歩く。 ふと、余りの幸せに不安が過る。 この時が続けばいいと、止まればいいと祈った。 三宅はすっと前だけをみて歩いていた。

「こっちだ。」
 いきなり繋いでいた腕が右に引っ張られた。 
 
 がしゃりと鍵が下ろされた音に咲織はうつつに無理矢理引き戻された。 ぼんやりと恋に酔った瞳に白い壁と天井、そして便器が映った。 そこが多目的トイレだと咲織は知った。 同時にそこに連れ込んだ三宅の意図も。

「判った様だな。」
 不安顔で仰ぎ見る咲織に三宅は言った。 まだ掌は繋がれていた。 咲織はその掌をぎゅっと握った。 
「はい。」
 哀しみを湛えながらも、覚悟を滲ませて咲織は頷く。 

「見せなさい。」
 三宅は便器を顎でしゃくった。 繋いでいた掌が邪険に振り払われた。 
「はい。」
 泣き出す胸に何かを言い聞かせる様に振り払われた掌で押さえながら、咲織は便器の前に立った。 俯いた貌は巻き毛に隠れていた。

「露出狂のおまえが好きなストリップショーをさせてやるんだ。 顔をちゃんと見せて。 スカートを下ろし、パンツも脱ぎなさい。」 
 外に漏れない用心に押し殺した三宅の声は固かった。 許してと甘く訴えた咲織の瞳は鋭い三宅の眼に射竦められて怯えた。 

 紛れも無く咲織はその眼の奴隷だった。 トイレで、好きな男の前で自ら裸になると言う屈辱的な命令に反抗する事など考えられなかった。 返事をする前に咲織の指は意思とは関わりなく、スカートのジッパーに掛っていた。

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☆ その2217=溢れる涙。

『こんな処で。 ここはトイレ。 トイレで裸になれと? 恋人扱いなんて程遠い。 麗子さんが言われていたけど、まさに肉便器。 でも、断れない。 ご主人様にあんな眼で見詰められたら。 ご主人様に求められたら。 私は家畜にも、性の奴麗にもなってしまう。 躯が熱い。 肌が求めてる。 ご主人様を。』

 咲織の優美な頬に一足早く桜が咲いた。 朧に霞む桜の妖艶さを纏って、咲織は黒のタイトスカートを剥ぎ取る様に下ろした。 トイレの床に付かない様に高く上げたハイヒールの爪先からスカートを抜いた。 ショーツよりも淡い桃色の太腿が白に囲まれた煌々とした灯りを跳ね返す。 

「何処で裸になろうと戸惑いも見せなくなったか。 いい脱ぎっぷりだな。」
 三宅の言葉が咲織の胸を切り刻む。

『そんなじゃありません。 平気なんかじゃ。 こんなにこんなに震えています。 こんなに痛んでるんです。 胸は。 血が流れるほど。 でも、でも、ご主人様のご命令だから、全てを押さえ込んで。 それなのに。 それなのに。 そんな眼で。 そんな平静な眼で見ないでください。 あぁ、どうして。 どうして逆らえないの。 声が出ないの。 違うと叫べないの。 どうして、躯がふらふらと疼くの。』

 咲織は恨めしそうな瞳を三宅に投げ掛けただけだった。 スカートを脇の棚に置くと、すぐにショーツを下げていった。 股間に感じる空気が冷たかった。 爪先からショーツを引き抜くとすぐに視線を避けるためと言うより、肌寒さを和らげるために掌で押さえていた。

「貸せ。」
 三宅が咲織の掌からショーツを奪い取った。 はっと咲織は羞恥に躯をちぢ籠めた。 血が逆流した。 

「どうせ、濡らせていたんだろう。」
 三宅はショーツを顔の前で拡げていた。 ショーツが描く三角形の頂きでピンクが濃くなり、シルクが半透明に輝いていた。
「うぅっ。 臭いな。 漏らしたみたいにずぶ濡れじゃないか。 まだ触れてもいないのと言うのに。 何を妄想してお萬子を濡らしていたんだ?」
 酷い言葉を掛けられて咲織が顔を上げると、瞳の前に三宅がいた。 咲織の大きな瞳が更に大きく見開かれ、そして柔らかに歪んだ。 ぷっくりとした涙丘の上で見る間に涙の粒が膨らんだ。   

「妄想なんてしてません。 ご主人様に会えたから。 ご主人様のお顔を見れたから。 何だか、躯がかぁっと熱くなって。」
 咲織は子供が駄々を捏ねる様に三宅の胸を小さな掌で叩いていた。

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☆ その2218=自ら開いて。

「俺の顔を見ただけで濡れるのか。」
 顎を持ち上げられ、咲織は濡れた瞳を三宅に絡めた。 求める様に紅い唇がほわりと開く。
「はい。 躯が自分の物では無い様に立っていられなくなります。 変ですか。 そんな女の子はいませんか。 婬濫なんですか。」
 口付けをねだる様に咲織は爪先立ちに三宅を見詰めた。

「公衆トイレの中で自ら下半身裸になる女が婬濫じゃない訳が無いだろう。 いい加減に自分の恥ずかしい性癖を認めるんだな。」
「言わないで。」
 三宅の言葉に咲織は恨めし気な瞳を向けた。 

「本当の事だから仕方ないだろう。 これがおまえの正体だ。」
 三宅は咲織の唇にショーツの濡れた部分を押し付けた。 むっと女の香りが咲織の鼻腔に拡がる。 羞恥にくらくらとした。
「判ったか。 おまえがどれ程婬濫な女か。 どうせ、今日一日中、俺に責められる自分の姿を想像して濡らし続けていたんだろう。 そして、今もトイレの中でその躯を疼かせている。 卑しい奴麗だ、おまえは。」
 三宅は口では辛辣に咲織を責めながら、優しい眼で咲織を包んだ。 つんとした咲織の顎を持ち上げ、唇を奪う。 

 三宅の口が咲織のぽってりとした唇を咬み、歯茎を舌が愛撫する。 咲織の舌がおずおずとそれでいて大胆に三宅に応える。 三宅の唾を歓んで啜った。 喉を潤し、躯の中に滲みていく。 ぴんと延びた太腿が愛に震えていた。 

「さ、便器に浅く座って、お萬子を開いて見せなさい。」
「はい。」
 名残惜しそうな視線を残して咲織は便器に腰を下ろした。 

「見て欲しいんだろ。 俺のために改造したお萬子を。 そして、保護のジェルを剥がして欲しいのだろ。 感じる様に。 俺に使って貰えるように。」
 三宅が咲織の前にしゃがみ込んだ。 咲織はその視線に雁字搦めに縛められた。 身動きが出来なかった。 心臓に縄が絡み付いてくるようだった。 

「はい。 ご覧ください。 咲織の改造したお萬子を。 そして、そして、保護のジェルを剥がしてください。 感じられる様に。 ご主人様を。」
 細い声が震えていた。 自らを貶め、三宅を歓ばせたいと願った。 本当に三宅を感じたいと願っている自分に恥入った。 じゅわりと躯の奥から濡れていくのが判った。

 咲織は自らの掌で膝を掴むと、ぐいと開いた。 光を跳ね返す白い太腿の奥で、ぬらりと桜色の秘唇が潤んでいた。

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☆ その2219=生まれたての奴麗。

『あぁ、感じてしまう。 恥ずかしいのに。 消えてしまいたいほど恥ずかしいのに。 躯の奥から溢れてくる。 ご主人様の視線が痛い。 痛いのが嬉しい。 感じる。 もっと婬らになりたい。』
 
 咲織は左右の太腿が一本の魅力的な棒になるほど開いた脚の中央に両手を運んだ。 ぬらりと光を纏った桜色の秘唇を細い指が左右に開いていく。 すっと一本の線を描いていた割れ目が開かれ、鮮やかな桃色の花びらが姿を現した。 それは本物の花のように見る者を誘って、恥らいながら息づいていた。

「小さいな。 金色のピアスがここにあると示していなければ、花びらに埋もれて見つけるのも難しそうだ。 雅士に包皮を切除してもらったから、もう少し大きくなる様に訓練しないといけないな。 こんなに小さくては洗濯ばさみで虐めるのも難しい。 おまえも俺に虐めて欲しいだろ。」
 三宅の意地悪な問い掛けに咲織は返事など出来なかった。 三宅の息が咲織の花びらに吹き掛かる。 開き切った太腿がぴくぴくとした。 子宮の奥が収縮し、妄りがましい体液がじゅわりと喉元まで這い昇ってくる。 咲織はただごくりと喉を鳴らした。

「でも、小さいながら如何にも弄って欲しそうな風情だ。 質のいいルビーそのものの輝き。じゃあ、ジェルを剥がしてやろう。」
 三宅の長い指が咲織の花びらを掻き分ける。 感じさせようと言う意図の無いその無造作な動きに感悩の電気が咲織の躯を走る。 咲織は細い喉から漏れそうになる喘ぎを堪えた。 

 先端にダイヤを飾られた金色の珠が上げられる。 そのピアスに貫かれた粘膜がひくつく。 咲織は唇を噛んで、甘い刺激から逃げ出しそうな自分を抑える。 

 ピアスを跳ね上げて、秘芽を剥き出しにすると三宅は胸ポケットから取り出したピンセットを操った。 透明な薄い膜を摘まむと、三宅は瘡蓋を剥がすように咲織の秘芽から剥がす。
 
「あんっ。」
 咲織は喉を突いた悲鳴とも愛の鳴き声ともつかない艶やかな声を飲み込んだ。 
「簡単なものだな。 これで、お前はこれまで以上にクリットで感じられる筈だ。 雅士が最初は傷口ぐらいに敏感だと言っていたが、両側をピアスで挟まれて歩くのはどんな感じかな。」
 
 三宅の指先が生まれて初めて剥き出しになった秘芽に触れた。 電気が咲織の躯を貫く。 それは細いが鋭かった。 感悩の電気ではない、痛みとも感じるちーんとした電気だった。 咲織は細首を反らして声を堪えた。 啼きたかった。 瞳の前の男の頼もしい胸に顔を埋め、思いっきり啼きたかった。 

『これがご主人様に改造して頂いた秘芽の感度? 怖い。 本当に怖い。 敏感過ぎる。 自分じゃないみたい。 ご主人様の指が軽く触れただけなのに。 でもこの感覚はご主人様がくれたもの。 この躯で私はこれから生きていく。 ご主人様の奴麗として。 これが、生まれ変わった奴麗です。 ご主人様好みに、ご主人様の掌で。 どうか、どうか、楽しんでください。』

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☆ その2220=開いた傷口。

「痛かったか。」
 咲織の反応に三宅は指をすっと引っ込めた。

「はい。 恐ろしいほど。 本当に開いた傷口みたいです。」
「確かに血がそのまま固まったみたいに透明で赤いからな。 その感度で、ピアスの珠に挟まれたらどうなるかな。 俺の指と違ってつるつるしているからそれ程ひどい感じ方はしないと思うが。」

「怖いです。 でも、ご主人様に改造して頂いたんですから。 その秘芽はご主人様そのもの。 ご主人様の物。 私の躯の中に埋められたご主人様。 それが痛みでも婬らな感覚でも、嬉しいです。」
 咲織は大きな瞳を潤ませた。
「馬鹿な奴麗だ。 ま、馬鹿でなければ奴麗になるなんて自分の口から言う訳が無いが。 ちょっとだけ我慢しろ。 声は出すな。 耐えられない様ならこれでも自分で噛んでいろ。 自分が漏らした愛液だ。 美味しいだろう。」
 三宅は咲織から奪ったショーツを丸めて、咲織の口に押し込んだ。 咲織は抵抗も見せず、三宅にされるがままに口を開き、口いっぱいに自らのショーツを咥えた。 

 生体反応のなせる業で自然に湧き出る唾液を溢さないように啜った。 不思議と惨めさは感じなかった。 むしろ、人目を惹かないようにとの三宅の優しささえ感じた。 否、咲織は三宅が自分にすることなら全てが嬉しかった。 それが、暴力でも屈辱でも与えられるもの全てが愛おしく、嬉しく、情慾を湧き立たせた。 

 従順な咲織の態度に三宅は一つ頷く。 その満足気な貌に咲織は胸を熱くした。 

「うぐぅぅっ。」
三宅の指が剥き出しの咲織の秘芽を摘まんだ。 小さな小豆ほどの秘芽を精一杯引っ張るとピアスの珠がその根元を挟むようにぐいと押し込む。 小さな小さな器官を弄られてるとは思えない、まして今は三宅に咲織を責めて楽しむ気は無いと、精一杯の優しさで扱われていると分かっているのに、まるで傷口を鑢で擦り上げられる様な鋭い痛みに悲鳴は押し殺しても、大きな瞳は涙に溺れた。

黒いジャケットの中で咲織の小さな躯が仰け反る。 ひしと自らの秘唇を開いた細い指が痙攣していた。   
 
「よし。 よく我慢した。 可愛い奴麗だ。」
 三宅は咲織の口からシルクのショーツを引き摺り出した。 涙瞳で見上げた咲織の頭をぐりぐりと子供をあやす様に撫でる。 咲織の愛らしい唇が歪んだ。

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☆ その2221=繋がれたい女。

「一段と婬濫な躯になった記念にこれを付けてやろう。」
 三宅はポケットから黒い革の首輪を取り出した。 前に奴麗になった記念に贈られた物よりずっと細く、咲織の指でも二本分の幅も無い。 合わせ目は断ち切りでは無くラウンドしていて一見愛らしいチョーカーにしか見えなかった。 それでも、手に取ると革は分厚く、両端に付いている留めるための金輪の他に中央にも一段と太い金輪が付いている。 恋人を飾るアクセサリーでは無く、自由を奪い、奴麗に仕立て上げる首枷だと知れた。

「いいのですか。 可愛い。 これなら、会社に付けて行ってもお洒落なチョーカーにしか見えませんね。」
 咲織は今の今まで躯を支配していた性の痛みも忘れて華やかな笑みを見せた。 綺麗な花を愛でる仕草で手渡された首輪を指でなぞって飽きなかった。
「首の後ろにそんな太い金輪が見えたら、誰でも奴麗を繋ぎ止めるための首輪だと思うぞ。 会社の華はマゾ奴麗だとな。」
 三宅は穏やかに笑った。

「きっと誰も気付いたりしませんよ。 だって、この金輪は私の髪で隠れてしまいますから。 それにもし誰かに私がマゾの奴麗だと知られても構いません。 これを見て奴麗の首輪だと気付く様な人は私と同じ境遇の人か、誰かのご主人様をしている人でしょう。 自慢しちゃいます。 私はご主人様に所有して頂いてる奴麗だと。」
 咲織は無邪気にはしゃいでいた。 

「一応、それをして人前に出る馬鹿の事を考えて、錠はアクセサリーらしい物にしておいた。」
 三宅が取り出した錠は金色に輝くバッグの形をしていた。 
「可愛い。」

「付けてやろう。 久々だな付けてやるのは。」
 咲織はうっとりと微笑み、髪を掻き上げた。 ひ弱さを感じさせる白い首を差し出す様に顔を反らせる。 躯の横に添えられた小さな掌は期待に汗ばんでいた。

 それは紙を挟む余地も無い程咲織の首にぴったりと寄り添った。 かちゃりとバック型の鍵が掛けられた。 ずっしりと重かった。 その重さが躯に滲みた。 その重さは所有の確かさだった。 咲織の躯はじゅんと熔けた。   
 
「パンツを脱いだついでにブラも外して、ノーパンノーブラになったら、付いて来い。 俺は先にロビーで待っている。 一緒にトイレから出てきたら変に思われるからな。」
 
 三宅が出た後、鍵を掛け直すと、咲織は急いでブラを外した。 ブラウスを脱ぐ間も惜しく、袖口から引き出した。 スカートを穿いて鏡の前に立つ。 頬に涙の跡を印したを少女が映っていた。 少女が流した涙は決して悲しみの涙ではなかったらしい。 そこにいるのは恋にときめき、喜びに戦く少女そのものだった。 

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☆ その2222=込み上げるもの。

『ご主人様とのデートだもの。 綺麗にしておかなきゃ。』
 咲織は今にも後を追おうとする心に言い聞かせ、ファンデーションを薄く叩き、口紅を引き直した。

 トイレから出ると通路の先に三宅の背があった。 心は疾うにその背に抱きついていた。 その心に追い付こうと脚が急く。 

「うっ。」
 十歩も堪えられなかった。 咲織は通路の真ん中で立ち尽くした。  瞳の中で三宅の背中が薄れていった。

『こんなに。 こんなに感じてしまうものなの。 ちょっと歩いただけで、こんなに感じるなんて。 でも、行かなきゃ。 歩かなきゃ。 ご主人様の処まで。 ご主人様のあの背中まで。』

 先に三宅の指で触れられた時の傷口を擦り上げられる鋭く激しい痛みとは違った。 ジェルの保護を失った秘芽は絶えずピアスの珠が与えて来る圧迫感を強く感じていた。 歩くと三宅の指と違って滑らかに加工されたピアスの珠はくすぐったい様な、掻き毟りたい様な、そして婬らな刺激を与えて来る。 それは発散される事無く、一歩ごとに咲織の中に溜まっていく。

 咲織は躯の中に溜まった婬らなもの吐き出す様に深く息をした。 恐る恐る、それでいて他人に悟られない様に精一杯にしゃっきりと足を踏み出した。 
 
 じんと感悩の波がスカートの下で剥き出しにした秘部から躯の奥へと打ち寄せる。 三宅の指が与えてくれるあのふわりと躯が重力を忘れる様な歓びでは無く、何か急き立てられる様なやるせない感悩の波だった。 逃れたいと願い、逃れるためなら、躯を無茶苦茶にされてもいい、そう思わせる無理矢理な感悩。 咲織の躯は嘗て三宅に塗り込まれた催婬剤の無慈悲さを思い出していた。 あるいは何処にいるのかも判らない三宅の意の儘に自分の中で動き出す遠隔操作のヴァイヴが与えてくる遣り場の無い感悩を。

 下腹に力を籠め、一歩一歩深く息をしながら慎重に脚を運んだ。 少しずつ瞳の中で三宅の背が大きくなっていく。 それを唯一の希望にして咲織は歩を進める。 きっと、スカートの中は洪水だろうと思った。 また、三宅に嗤われる。 そして、それを口実に虐められる。 そう思うと、ますます躯は熱く疼く。

「遅かったな。 罰だな。」
「はい。 お好きなだけ罰して下さい。」
 振り向いた三宅の胸に咲織は躯を預けた。 その胸があたたかかった。


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☆ その2223=疼き。

「言葉だけは奴麗らしくなった。 その言葉を悔やんでも知らないぞ。」
 そう言いながらも三宅の腕が咲織の肩を抱く。 その心強さに咲織は胸に誓った。 

「おまえは海外旅行にでも行くつもりか。」
 咲織がホテルのベルキャプテンに預けていたキャリングケースを見て笑った。
「だって、十日も一緒に居られるんでしょ。 一日一着としても少なくとも下着が十着は必要です。 これでも、外出着は思いっきり減らしたんです。」
 
「奴麗には下着もアウターも要らないとは思わなかつたのか。」
「少し。」
 その意味する処を思うと咲織の声は小さくなる。 はにかんで俯いた。

「まあいい。 おまえはバッグもあるから、俺が持ってやろう。」
 三宅はサンドベージュのキャリングケースを奪うと歩き出した。 肩を抱かれた咲織の小さな躯が宙を舞う様についていく。 三宅は慌てた様子も見せず、ゆったりと歩いていく。 それでも、背の高い三宅に付いて行こうとすると、どうしても咲織は小走り加減になった。 まだロビーを出ない裡にピアスが牙を剥いてくる。 

「ごめんなさい。 もっとゆっくり歩いてください。」
 三宅を見上げた瞳がまた泣き出しそうだった。
「どうして?」
 玄関ドアの前で三宅が歩みを止めた。 すぐ傍らでドアマンが自動ドアを開けて待っていた。

「だって、感じちゃうんです。 ご主人様に付けて頂いたピアスで、歩く度に。」
 前なら言え無かった、背伸びをして三宅の耳元に告白しながら咲織は思った。 
「おまえが婬らだからだ。」
 三宅の誰憚らない声の大きさに咲織の心臓はきゅんと縮んだ。 おどおどと傍らのドアマンを盗み見た。 

「婬らなマゾ奴麗を婬らだと言ってはいけないのか。 それとも婬らじゃないとでも言う積りか。」
「いえ。 そんな事は。」
 咲織は消え入りそうだった。

「銀座まで歩くのは無理そうだな。」
「ご自宅に向うんじゃないですか。」
「おまえが生まれ変わった日だ。 思い出のレストランで食事でもしようと思ったが。 今すぐに虐められたいのか。」
「いいえ。 行きたいです。 あのレストラン。」
 咲織は肩を抱く三宅の腕にしがみ付いていた。

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☆ 爪先まで色気たっぷりに。

☆  ごめんなさい。 今日は片岡愛之助様を観てきました。 宙乗りで頭上を八放睨みで遊泳され、魅せられました。 さすがの色気です。 

☆ 明日からは何時も通り毎日連載しますので、是非是非読みに来てください。 
 

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☆ その2224=ぎゅっと。

 一歩踏み出す毎に秘芽を挟むピアスの珠はその存在を主張した。 直線的な刺激では無く、柔々と揉み込む様に、時に羽根でふわりと振れるか触れないかの焦れる様な刺激でここにいると、そしておまえは性の奴麗だと咲織に伝えて来る。
 
『あぁ、ご主人様。 ご主人様を感じます。 婬らだけど、あそこで。 そして、この腕で。 躯全体で。 ご主人様がいる。 今は私の傍らに。 今だけでなく、ずっと、何日も。 今夜は食事をした後で、責められた後で、離れ無くていい。 あの寂しさを哀しさを感じなくていい。 幸せなまま、ご主人様を感じたままに夜を過ごせる。』

 今、三宅の腕に取り付いている自分の腕を邪険に振り払わないでいてくれる事が嬉しかった。 その嬉しさに否応の無い感悩の疼きにさえ、咲織は高揚した。 

 慇懃な笑みが貼りついたドアマンの顔を後にして、三宅は右に折れ、タクシー乗り場に向った。 その僅かな距離にも咲織の歩みは遅くなる。 奴麗がようやく得たささやかな幸せを飲み込む程に咲織の中で婬美な波が大きくなっていく。 

「どうした。 感じ過ぎて、歩けないのか。」
 咲織は恥ずかしそうに三宅の胸に顔を埋める様にこくりと頷いた。 
「まだほんの十メートルも歩いてないのに、はぁはぁと今にも逝きそうな息をして。 会社の廊下でもそんな婬らな姿を曝して、男達をみんな惑わす積りか。」
 三宅の意地の悪い言葉責めに反論さえ出来ず、耳元を擽るその低い声に咲織は躯を震わせた。 それ程に感悩が昂っていた。 三宅の腕にしがみ付いていなければ、その場に崩折れそうだった。 

「ご主人様と一緒だからです。」
「俺は催婬剤か。」
 三宅は笑って、咲織を先にタクシーに乗せた。 ほっと咲織はシートに躯を預けた。

「銀座三越前まで。」
 三宅の告げた行き先を聞いて、咲織はしっとりと躯が熔けて行くのを感じた。 心よりも先に躯があの日に戻っていた。 あの日も胸はどきどきと脈打ち、躯は歓びに熔けそうだった。 それは今も変わらない。 その事に気づいて咲織は、嬉しさに三宅の掌を両掌で包んだ。 その歓びを三宅に送り込む様に。

「あの日を覚えているか。」
「はい。 凄く鮮明に。 嬉しかったから。 とても。」
「奴麗になれてか。」
 咲織は返事の代わりに、包んだ三宅の掌をぎゅっと握り締めた。

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☆ その2225=日蔭者。

「未だに俺の奴麗になった事を後悔していないのか。」 
「後悔なんて。 考えた事もありません。」

「俺の奴麗にならなければ、その綺麗な肌に傷を付ける事も、歩くだけで立っていられない程感じ過ぎる躯になる事もなかっのにか。」
「はい。 だって、ご主人様が欲しかったのは恋人では無く、奴麗だったんでしょ。 奴麗になったから、こうして、今お傍に居られるんですから。」

「ふんっ。 そう言う事にしておくがいい。 その方が幸せでいられるなら。」
「違うんですか。 ご主人様は奴麗を探していらっしゃったんじゃないですか。」

「その通りだ。 俺が欲しかったのは奴麗だ。 奴麗になってくれる女では無くて、生まれ付いての奴麗だ。 そして、おまえは生まれ付いての奴麗だった。 でも、俺に出会わなければその本性に気付かずに生きて行けたかもしれない。 それがガラスの幸福でも、幸福は幸福だし、壊れる事無く一生を送ることは可能だ。」
「ご主人様の奴麗になれて良かったです。 本当に。」

「それは嬉しい。 本性を知った上で、なお喜んでいてくれて。」
 意外な告白に咲織は三宅の顔を見た。 その顔は優しく自分に向けられていた。
 
「歩けるか。」
「はい。」
 キャリングケースは三宅が持ってくれた。 掴まれと言う様に差し出された三宅の腕を咲織は両掌で取った。 歩く度にピアスが送って来る刺激から逃げると言うより、街の眩しさから隠れたかった。 奴麗の身には銀座の煌めきは似合わない様に思えた。 三宅がその事を気付いているのかと咲織は顔を盗み見た。 その端正な横顔は街の灯りを跳ね返して、より輝いて見えた。 

「あの服はどう思う?」
「素敵だと思いますけど。」
 歩きだしてすぐに三宅は華やかなショーウインドーの一つで足を止めた。 三宅の示した指の先で、白地に鮮やかな花が描かれたワンピースを見に付けたマネキンが微笑んでいた。   
 
「着てみないか。」
「えっ、私に。 華やか過ぎませんか。」
「いや、おまえに華やか過ぎると言う事は無いだろう。 試着してみたらどうだ。 今着てる服はデートと言うには固すぎる。」
「はい。」
 突然の話に驚きながらも咲織は頬を染めて、店に入った。

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☆ その2226=婬らに。

「いらっしゃいませ。 そのショーウインドーのワンピース、今日届いたばっかりの、うちのデザイナーの自信作だそうです。 お取りいたしましょうか。」
 店の奥から観察眼を光らせていた店長の女性は着てくれたら広告塔にもなりそうな女性と金払いの良さそうな紳士のカップルの登場に満面の笑みを顔を張り付けて飛んできた。

「うん。 着せて貰いなさい。」
 三宅はこの手の店に慣れた仕草で咲織を促した。
「試着させて頂いても、よろしいですか。」
  咲織はやや嫉妬の瞳を三宅に投げて、頷く。 

「あちらのドレスもお嬢様なら、きっとお似合いだと思いますが。」
 二人を出迎えながら、眼の端で最も高い商品の位置を確認していた店長がマネキンからワンピースを脱がせながら壁際に飾られたドレスを指差す。
「あっ、あれは着て行く場所が無そう。」
 品のいいサーモンピンクの薄絹を幾重にも重ねて綺麗なドレープを見せるスカートとレース遣いの品のいい白いブラウスを繋げたドレスを見て、咲織は三宅に助けを求める視線を向けた。

「あのくらい着飾った女を裸に剥いていくのも楽しいものだ。」
 三宅が腰を折って、咲織の耳に息を吹き掛ける。 その卑猥な台詞と低い波長に咲織はふっと心を呑まれた。 じゅんと裸の秘唇が収縮した気がした。 ピアスがじわりと固くなったであろう秘芽を締め付けて来る。
「じゃあ、あれも見せて頂きましょうか。」
 店長に背を向け陰を作りながら、三宅はブラウスの上から咲織の胸を柔らかに掴んだ。 批判の声も出せず、咲織はただ大きな瞳を少し吊り上げて三宅を睨む。 睨みながらも、女の歓びに紅い唇が媚びを含んで綻ぶ。

 広い試着室で一人、コートを脱ぎ、ジャケットを肩から落としていく。 スリップの下に女の最後の砦となるべき下着は何も付けていない。 暖かな店内に居ながら、咲織は素肌に冬の冷気を感じた。 咲織は不安に駆られてドアが閉まっているのを幾度も確認しないで居られなかった。 

『奴麗になったのね、私。 本当に。 ご主人様が傍らにいらっしゃらないと不安で堪らない。 これからあの店でデートだと言うのに、こんなに素敵な服をご主人様が見立ててくださったと言うのに、心はご主人様のあの家に飛んでいる。 あの家で、ご主人様と二人きりで責められたい。 ご主人様にこの躯がもう動かなくなるまでご奉仕したい。 本当に婬ら。 婬らな奴麗。』

 咲織はスリップの下で剥き出しになっている秘唇に、三宅からピアスを付けられた秘芽に指が向おうとするのを一人恥じた。

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☆ その2227=着せ替え人形。

 咲織は一人焦ってドレスに着替えた。 鏡に姿を映さなくても、スカートの右側は踝が隠れる程の長さだが、脚の長い咲織でも左側は股の処まで斜めに切れ上がっているのが素肌を擽る空気で判った。 早く三宅に着替えた姿を見せたくて心は焦れるものの、何かの拍子に下着を付けていない股間が見えそうで不安が過る。 咲織は幾度も鏡の前で右に左に躯を回してみた。 

『嗤われてもいい。 それが、奴麗の役目なんだから。』

 咲織は更衣室の扉をそっと開け、外の様子を覗う様に顔を出した。 思いのほか、すぐ傍らにいた三宅がさっと扉を大きく開いた。

「どうですか。」
 咲織は意を決して、三宅の前に立って見せた。 
「うん、いいんじゃないか。 たまにはそう言うのも。」
 澄まし顔で三宅が言う。

「まあ、良くお似合いで。 お嬢様の様な方に着て頂いてドレスも嬉しそうです。」
 店長は大業な声を上げ、最大級に愛好を崩した。 その声に他の客達も視線を咲織に向けた。
「ちょっと回ってみなさい。」
 気恥ずかしさと不安とそして嬉しさに生きた心地がしなかった。 咲織は頬を染めながら、くるりと回って見せた。 何処からかでほおっと感嘆の溜め息が聞こえた。

「ワンピも着てみますか。」
 居たたまれなさに咲織は三宅の返事を待たず、更衣室に逃げ込んだ。

 ワンピースは思いのほか胸元が大きく開いていた。 咲織の他人よりも高い位置から盛り上がっている胸球が作る深い谷間がはっきりと見える。 長さはミニと言っても品のいい物だったが、左側にデザインされた三角の切れ込みが思ったよりも深い。 が、鏡に映った姿は決して下品さは無く、露出した肌も愛らしさを増すのに役立っている様に見えた。 何と言っても三宅が見立ててくれた物だった。 咲織は三宅の反応が見たくて急いで外に出た。

「やはり、似合う。 二つとも頂きます。」
 三宅は不安と期待の入り混じった瞳でおずおずと見上げる咲織を一瞥すると、咲織を制してすぐに店長にカードを手渡した。 
「着替え無くていい。 その服のまま店に行こう。  
 三宅はそう囁くと照れる咲織の頭をぽんと叩いた。

 結局、白いワンピースに合うヒールの高いサンダルまで三宅は買ってくれた。 しんとした冬の冷気も感じない程に咲織の心は浮き立った。 ふわふわと雲の上を進んでいる様な心持で街灯りの下を歩き始めた。 肩を抱く三宅の力強い腕の感触だけが現実だった。

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☆ その2228=怖いです。

 咲織はコートの襟元から三宅から贈られたワンピースがまるで消えてしまうのを恐れる様に幾度も確かめた。

「気に入ってくれたか。」
「はい。」
 咲織は熱に浮かされた貌で三宅を仰ぎ見る。 咲織に注がれる三宅の眼が優しかった。

「余り、嬉しそうじゃないな。 ちょっと胸が開き過ぎだったか。」
「いいえ。 嬉しくて、嬉しくて。 言葉が無いんです。」
 咲織は下を向き、もう癖になった慎重な脚の運びで三宅に付いていく。
 
『本当に嬉しいんです。 こんなに幸せでいいのですか。 口を開くと幸せが零れてしまいそう。 不安になってしまいます。 ご主人様がお優し過ぎて。』
 
 三宅の歩調が何時に無く極ゆっくりで、そして店々のショーウインドー毎に立ち止まってくれているのを知っていた。 その気遣いに咲織の胸は溺れそうだった。 咲織は自分の肩を抱く三宅の掌をぎゅっと掴んだ。 

「ん? 感じてるのか。 こんなにゆっくり歩いていても、濡れて濡れて、どうしようもないのか。 婬濫な女だ。 歩くだけで感じるとは。」
 三宅が行き交う人に聞こえはしないかと思う声で言った。 咲織は恥ずかしさにふわふわとしたコートのファーの襟に顔を埋める様に俯く。

「前はおまえの首輪に鎖を繋いで犬の様に連れて歩いたのに、おまえは嫌がる処か本当の犬が散歩に連れ出された様に嬉しそうに尻尾を振って付いて来た。 おまえの一生を俺の奴麗として過ごさせてやろうと思った。」
 三宅は抱きかえる様に咲織を薄暗い路地に誘った。 小さいが今も信仰を集めているのだろう清掃の行き届いた稲荷神社の横にぽっかりと暗い隙間があった。 その闇に二人は埋まった。 

「欲しいか。」
 三宅の低い声が咲織の子宮を震わせる。 
「はい。」
 小さな咲織の声は意思を持っていた。 

『何時でも、咲織はご主人様が欲しいです。 何時でも、ご主人様に求められたいです。 婬濫ですか。 いいんです。 婬濫な奴麗で。 それが、私。 ご主人様の奴麗。 なんだか、ほっとします。 そう。 私はご主人様のマゾ奴麗。 優しくされるより、求められ、責められ、啼いてる方が落ち付きます。』

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☆ その2229=マゾの自覚。

「おまえはこんな何時人が来るとも判らない処で、俺を欲しがるのか。」
 三宅の声には怒りも、からかいの口調も籠っていなかった。 静かなその声が却って咲織を羞恥の穴に落とし込む。

「あぁ。」
 咲織は真っ赤に染まった頬を三宅の胸に隠して、子兎の様に震えた。

『そう、ここは銀座の真ん中。 今は二人きりでも、何時誰が来てもおかしく無い街中。 一体、私は何を期待していたの。 そんなにも疼いていた? あぁ、なんて、なんて女なの。 ごめんなさい。 ご主人様。 もっと、恥を知る女でいなければ。 ご主人様はそう言ってらっしゃった。 恥を忘れず、羞恥に染まり続けるから、責め甲斐があると。 それなのに・・・。』

「ふふっ。 おまえは婬濫な上に露出狂だったな。 覚えておこう。」
「いや、いや。 そんなんじゃありません。 ご主人様とずっと一緒に居られると言うだけで嬉しくて嬉しくて堪らないのに、服まで買って頂いて、もう舞い上がってしまって。 ここが何処かも忘れていたんです。 そう、ずっと、お会いした時から咲織にはご主人様しか無くて。」
 話し始めたら思いが溢れた。 駄々っ子の様に三宅の胸にしがみ付きながら、咲織は言い募った。

「ふんっ。 恋する乙女が恋に夢中になって判断力を失ったと? 自分を美化するにも程がある。 認めたらどうだ。 街中であろうと人前だろうと、否、人に見られていると思うと余計に発情してしまう盛りの付いた犬の様なマゾ奴麗だと。」
 三宅は顎をぐいと持ち上げて、咲織の顔に冷たい視線を注いだ。 その冷酷な眼に射竦められながら、咲織の肉が震えた。 それは怯えた震えでは無く、次の更に冷たい仕打ちを期待しての震えだと咲織は気付いていなかった。 それでも、背中を包む三宅の腕の逞しさに恥入りながらも咲織の心は何処か浮き立った。 

「そんな。 でも、そうかも知れません。 咲織は私が思っていた女では無く、婬らで、マゾの奴麗だったのかもと、最近思うようになりました。」
「ようやく心の服を脱いだか。 楽になっただろう。」
「はい。」
 図星だった。 咲織は顔を上げられなかった。 

「常に自覚していなさい。 自分は清純なんかじゃないと、婬らなマゾ奴麗だと。 その上で、羞恥に震え、責めに悶え、肉の悦びに啼き、自分の身を恥じなさい。 羞恥心を忘れない事だ。 おまえが恥ずかしがる姿は可愛いからな。」
「はい。」
 ようやく顔を上げた咲織の唇を三宅は奪った。

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☆ そこは・・。

☆  今日は臨時の出張がありました。 アンドロメダはお休みをいただきます。 

☆ 明日からは何時も通り毎日連載しますので、是非是非読みに来てください。 
 

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☆ その2230=奴麗の肉。

 唇から三宅の脈が肉に流れ込んでくる。 咲織の肉は歓びに熱く沸騰した。 次を期待して躯中の血が沸き立つ。 子宮に流れ込んだ血で苦しいまでに疼く。 そっと舌が三宅を求めて蠢いた。 

 三宅はさっと離れた。 

『もう、終わり?』

 咲織の口は半開きの儘に残された。

「何を期待した?」
 三宅は優しい眼で皮肉に口を歪めた。 まだ騒ぐ血に動けないでいる咲織の肩をぽんと叩き、歩き始める。 
「判りません。」
 三宅に遅れまいと必死に脚を前へと出す。 ピアスが秘芽を咬んだ。 三宅の掌の下で咲織の躯がぴくんと跳ねる。

「判らない?」
「本当なんです。」
「教えてやろうか。」
「はい。」
 咲織は三宅を見上げた。 瞳の中で三宅の顔がさも得意気に笑った。 その顔に胸がきゅんと歓ぶ。 この顔を見続けていたいと。

「犯される事を期待したんだ。 この口も、ピアスの刺激にじゅくじゅくに濡れているお萬子も、その下でひくつく菊華も。」
 女を辱しめるための言葉が咲織の耳を擽る。 咲織の中の女の肉がひくひくと騒めく。 肩を抱く三宅の掌はそれを知っていた。 躯の反応を知られた咲織の脚が止まった。

「それとも、鞭かな。 おまえが求めたのは。」
 肩を抱いていた三宅の掌がコートの上から咲織の小さな背中を滑っていく。 柔肌がさざ波を打った。 尻たぼの描く綺麗な曲線を三宅の掌がなぞる。 ハイヒールが浮く程咲織の躯がはぴんと伸びる。

「はい。 無茶苦茶にされたいです。 ご主人様の思うままに。」
「ふふん。 もう少し我慢しなさい。 食事が終わったら、壊してやる。」
「はい。 お願いします。」
 奴麗の台詞を口にしながら、咲織は奴麗になりきっていた。

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☆ その2231=怖いくらいに。

 包む様に小さな肩を抱かれ、三宅に出会ってから咲織は初めて安やぎを覚えた気がした。 頬を付ける様に躯を寄せた。 三宅は咲織のするままにさせてくれた。 鼻腔を微かに三宅の頼もしい薫りが擽った。 胸いっぱいに吸い込むと、細胞の一つ一つが三宅に染まっていく気がした。 

 歩を進める度に秘芽を圧迫し、敏感な粘膜を擦り上げてくるピアスの意地の悪い刺激にさえ、三宅の物だと今は確認させてくれる優しい天使の様に思える。

『ご主人様。 ご主人様に包まれている。 咲織はつくづくご主人様の物だと感じます。 幸せすぎて、怖いくらい。 今なら、きっとご主人様から与えられる鞭の痛みにさえ、幸せを感じられるかも知れません。 だって、それはご主人様の奴麗でいられる証しなんだから。 ご主人様に求められ、楽しんで頂いている何よりの証拠なんだから。』

 咲織は全身で三宅を感じ、その喜びに浸った。 街の明かりも行き交う人々の顔も瞳に入らなかった。 咲織を気遣ってか、時折足を止めてはショーウインドーのディスプレーを前に批評する三宅の言葉さえ耳に入っては来ないほど、咲織の心は何処までも空が続く様に高く舞い上がっていた。

 三宅を感じれば感じるほど、心が舞えば舞うほど、躯が肉が更に三宅を求めだす。 脚を動かす度にピアスに刺激される秘芽が、その奥の子宮が三宅を求めて泣き出す様だった。 

 躯の疼きは、昂るばかりで満たされる事は無かった。 舞い上がる心と満たされぬ肉が鬩ぎ合い、何時しか、不安が頭を擡げてくる。 

『怖い。 ご主人様に嫌われたら。 捨てられたら。 咲織はどうしたら・・・。 生きていけない。 昏い地獄をのた打ち回って。』

 表通りに出て、最も賑やかな交差点を曲がった。 首輪をされ、リードで繋がれて歩いたあの日の感覚を肉が思い出す。 その後の責め苦を愉悦と共に思い出す。 

 三宅は薄暗い階段を下りて行った。 ゆっくりと降りていく。 一段降りる度に咲織の躯は疼き、三宅を求めて啼いた。 胸が苦しかった。 喜びと渇望と安心と不安とが綯交ぜになった粘液が胸に溢れ、溺れそうだった。

「あぁ。」
 咲織は三宅の腕を滑り、その場にしゃがみ込んでいた。
「感じすぎて、疼き過ぎて、立ってもいられなくなったか。」
 強い力で躯を持ち上げられた。 三宅は軽々とまるで泣いた子をあやす様に、その両腕に咲織を抱き上げた。

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☆ その2232=サディストの罠。

「好きです。 好きです。 どうしようもなく好きです。 あぁ、この千分の一でも、一万分の一でもご主人様に好かれているのなら、愛されたなら。」
 咲織の腕は自然に三宅の首に回っていた。 咲織の小さな掌が、狂信者の熱を持って三宅の短く刈られた髪を掻き乱す。 

「ふん。 ただ、躯が求めているだけのくせに。 どうしようもないマゾの婬濫だから、普通のデートでは満たされないんだろ。 だから、おまえの躯が求める責め苦を与えてくれる俺の事が好きなだけだ。」
「違います。 本当に。 愛していなければ、奴麗になどなりません。 愛していなければ、鞭で打たれても、躯を改造をされてもついて来たりしません。 愛していなければ、一緒にいられるだけでこんなに幸せにはなれません。」
 咲織は今にも泣きだしそうな貌を幾度も厭々と駄々っ子の様に振った。 

「そうか。 良かったな。 惚れた男の奴麗になれて。 嬉しいだろう。」
「はい。」
「じゃあ、その躯が壊れるまで俺に奉仕しろ。 恥を忍び、痛みに耐えて、躯を穢されて、何処までも堕ちて、俺を歓ばせろ。 いいな。」
「はい。」  

「これも俺が奴麗のおまえに与える責め苦だと思え。 疼き責めだ。 耐えろ。 耐えて耐えて、この婬らな躯を疼きに疼かせろ。」
「はい。」
「縄が、鞭が、責め苦が欲しくて仕方ないだろう。 楽しみにしていなさい。」
「はい。」
 咲織は素直に頷いていた。 事実、躯の疼きは抱き締められただけで逝く程に強く、鞭の痛みでなければ埋まらない程に深かった。

 抱かれる様にして店に入った。 椅子に腰かけると、直接的に躯に訴えかけてくる刺激は遠ざかった。 だが、肉の飢えは深まっていくようだった。 それは未だに刺激されるだけで満たしては貰えないマゾの飢えだった。 優しくされる程に不安がり、怯えるマゾの血だった。 抱擁よりも縄の苦しみの中に安らぎを覚え、愛撫よりも鞭に打ち震えるマゾの本能だった。

『あぁ、欲しがっている。 ご主人様の仰る通りに。 自由を奪われ、ご主人様の思うが儘に弄ばれ、啼きじゃくりたい。 ご主人様が欲しいです。 喉の奥まで、息が出来なくなるまで、ご主人様を感じたい。 この躯の中にご主人様が欲しい。 壊してください。 この婬らな女を。 ご主人様の掌で。』

 咲織は三宅が吹き込んだ言霊の罠に絡め捕られていた。 胸が溺れる思いが愛なのか、肉慾なのか、マゾの血なのか分からなかった。 分かっている事は、咲織が、咲織自身が三宅から与えられる責め苦を望んでいる事だけだった。 そして、その思いは時と共に強く、凶暴になっていった。

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☆ その2233=肉の中の熾火。

 椅子に腰を下ろし、もうピアスが秘芽を咬むことも無いと言うのに、疼きは高まるばかりだった。 ちろちろと燃え続けていた熾火が大きくなっていく。 炙られた肉がどろどろと溶けていく。 その奥深くで、満たさることの無い疼きが鉄の爪となって咲織の胸を掻き毟る。

「あぁん。」
 咲織の口から小さく艶やかな悲鳴が漏れた。
「どうした?」
 小さな金色の泡を立ち上らせるグラスを持った手を止めて、三宅が聞いた。

「何も。 ちょっとグラスを落としそうになって。」
 咲織は真っ赤になった頬を隠すように俯けた。 恥ずかしさに顔が上げられなかった。
「そうか。 まるで、秘唇を弄られた時の様な色っぽい声だったが。」
 
『なんて。 なんて、婬らな。 今、ご主人様の足指をあそこに感じてしまった。 床まで覆うこのテーブルクロスに隠れて、ご主人様は靴を脱がれて、足で私の膝を突かれた。 それをご命令だと思った私は膝を開き、ご主人様の足を受け入れた。 ご主人様の足が太腿を撫で、そして、確かにあそこに触れた。 ピアスの嵌った秘芽を足指で。 そして、濡れた秘唇の中に・・・。 ご主人様の言われた通りに感じてしまった。 今、確かにご主人様を感じた。 欲しがり過ぎて、婬らな白日夢を見たの? なんて、なんてはしたない。 哀しい女。 ご主人様がこの店に、思い出の素敵な店に連れて来てくださったというのに。 まるで、辛い辛い責め苦を受けているみたい。 縄で自由を奪われて、何もされずに放って置かれる。 一番惨い責め。 鞭で打たれた方が、息も出来ない程に喉を使われた方が。 あぁ、何を望んでいるの? 何を考えているの? この婬らな女は。』

 三宅の言葉に咲織は小さな躯を一層小さくする。 巻き毛を右に左に厭々と小さく震わせた。

「乾杯しよう。」
「はい。」
 必死の思いで咲織は顔を上げた。 キールロワイヤルの入った華奢なグラスがかたかたと震えた。 少しは躯の疼きが納まるかと咲織はぐっと喉に流し込んだ。 甘目のシャンパンが肉を解し、小さな泡達が喉を愛撫していった。

「目元が朱を帯びて、色っぽくなった。 おまえは少しは飲んだ方が大人びるな。 その顔なら、どんな男も落とせるぞ。」
「ご主人様も?」
 咲織はかっと火照った肉の勢いに任せて聞いた。

「俺なら、疾の昔に落としているじゃないか。 奴麗になりたいと言うお前の望みのままに。」
 三宅の言葉に咲織の中で肉慾の熾火が炎となって立ち上った。 

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☆ その2234=縺れる心。

『本当ですか。 本当ですか。 ご主人様が咲織に落ちた? 咲織は単なる性慾処理のための奴麗じゃないんですか。 道具の一つじゃないんですか。 代わりなどご主人様なら幾らでもいる。 奴麗の一人にして頂いているんじゃないんですか。 本当なら、ご主人様の言葉が本当なら。 どんなに、どんなに嬉しいか。』

 怖かった。 もう一度確かめるのは怖すぎた。 きっと皮肉な三宅は二度目は否定するだろうと思えた。 否定されたら、咲織にはもう縋り付くものが無い。 今の言葉を胸に閉まって、永久に守り、火を灯し続ける道を選んでいた。

 その火が咲織の中の婬らな熾火を燃え上がらせた。 酒のせいだけでなく、躯が溶け出すほどに熱い。 その躯の中で、秘唇は一層熱く火照り、ずきずきと血を脈打たせた。

 運ばれた料理の味も分からなかった。 三宅が楽しそうにしてくれた海外の話題も頭に届きはしなかった。 ただ、三宅の声を揺り籠にして、婬らな炎が燃え上がるばかりだった。

 肌と言う肌が燃えていた。 かっかと火照り、つんと鉛筆の先で突いただけで爆ぜるぱんぱんに膨らんだ風船の様に逝ってしまうのではないかと思える程、細胞の一つ一つが三宅を感じようと目いっぱいに広がっていた。

 躯は妄想の中にいた。 肉は果てしない愛撫を受けている様に張り詰めていた。 その中で婬らな夢から目覚めた心が三宅の存在を慌てて確かめる。 眠りの後で親を必死に探す赤子の様に。 

 顔を上げると三宅の眼差しがあった。 ほっと安堵すると同時に、その視線が咲織の大きく露出した胸の肌を突き刺す。 おまえの婬らさを全て知っているぞと。 その痛みに咲織は啼き、そして悶えた。 

「出ようか。」
 その声に咲織は現に引き戻された。 まだ婬らな妄想から冷めやらない躯が現実の責め苦を求めて湧き立った。 

「はい、ご主人様。」
 自ら口にしたご主人様と言う呼び名に咲織の心は酔った。 そう呼べる人がすぐ傍にいる嬉しさに胸が詰まる。 立とうとして、心に追いつかない脚が縺れた。

 咲織の躯を三宅が包んだ。 その腕の力強さに、胸の頼もしさに、咲織の肉が三宅の形に蕩ける。
「ご主人様。」
 もう一度、口にした。 

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☆ その2235=柔肌の上の蝸牛。

「なんだ?」
 三宅に問い掛けられて、咲織ははっと現実に戻された。 誰にも秘密にしている小さな時からの宝箱を見られでもした様に、戸惑いを見せた。
「何でもありません。 ただ、ご主人様とお呼びできる事が嬉しくて。 ご主人様と一緒にいる事を確認したくて。」
 咲織はあたふたと言い訳をした。  
 
「ご主人様と唱えると、気持ち良くでもなるのか。」
「幸せになります。」
「なるほど。 おまえの婬らな感覚とご主人様と言う言葉が結び付いてスイッチにでもなってるようだな。 ご主人様と唱えると濡れるんだろう。」
「そんな、ただぽっと心に灯が点るだけです。 一人でも寂しくなくなるんです。 一緒にいられる時には幸せを噛み締められるんです。」
 咄嗟に否定はしたが、図星だった。 

『知られてしまった。 ご主人様と唱えると躯がぽっとあったかくなることを。 そして、じゅんと疼いてしまうことを。 ご主人様、ご主人様は咲織の秘密を全て握られるんですね。 咲織はご主人様の前で丸裸。 心の中までも。』 

 自分の躯の婬らな秘密を知られた恥ずかしさと、それ以上に三宅の前で『ご主人様』と気恥ずかしくて素直に言えなくなる寂しさを感じた。 
 
「俺がおまえのご主人様になってからは、俺と会っている時はおまえはいつも裸だったし、俺の性欲を満足させるためだけの道具で居続けてきた訳だからな。 パブロフの犬と一緒だ。 おまえにとって俺は、ご主人様は、セックスそのものを意味し、それを口にするだけで婬らになる訳だ。 ふふ。 パブロフの犬か。 雌犬に相応しい反応だ。」
「酷いっ。」
 咲織はつんと紅い口を尖らせた。

「違うと言うのか。」
 腰に回されていた三宅の掌がすっと下に動いた。 
「あっ。」
 咲織は小さく悲鳴を上げた。 が、まるで躯は動かなかった。 手で振り払うことも、躯を翻して凌辱しようとする三宅の手から逃れることも出来なかった。

『ダメ、ダメです、ご主人様。 何時、従業員の方がコートを持って戻られるか。 見られてします。 ご主人様に傷がつきます。 ダメ、躯が動かない。 ご主人様に触れられると、触れられた途端に躯が言う事を聞かなくなる。 ご主人様に躯も逆らう力を失ってる。』
 
 三宅の掌はワンピースの裾から忍び込み、蝸牛の動きでゆっくりと柔肌の上を這って行く。 その動きにつれて、硬直していた咲織の躯が溶けていく。 

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☆ その2236=ごめんなさい。

「うぅっ。」
 咲織の躯が発条の様に再び固まった。 ワンピースの裾は太腿の付け根まで捲られていた。 動きの制約を解かれた三宅の指がやわかい股間の秘肉を這い、秘唇の合わせ目をなぞり上げる。 

「あぅん。」
 声を漏らさまいと固く噛んだ咲織の唇を震わせて、小さな喘ぎが零れた。 ハイヒールが木の床を鳴らすスタッカートが響く。

「ご主人様と言え。」
 押し殺した三宅の声が咲織の耳朶を熱くする。
「ご主人様。」
 口にした途端、咲織の中を熱いものが肉を熔かしながら落ちていく。 咲織はここが何処かを忘れた。 咲織の脚はじりじりと開き、三宅の指を受け入れていく。 躯はもう三宅を求めて溶け出していた。  

 クロークの奥からこつこつと足音が聞こえた。 三宅の掌がさっと、何の名残も見せずに引いていった。 
「ありがとう。」
 三宅は既に紳士の姿に戻って、従業員にコートを着させていた。
 
「すいません。」
 コートを掛ける従業員の前で、ワンピースの裾がまだ捲れ上がっている事に気づいた。 巻き毛の陰でうなじが赤く恥じ入っていた。 

「何処にいようと、何時だろうと、人前だろうと、すぐに欲しがる。 盛りの付いた犬なんてものじゃない。 おまえに似合うだけの侮蔑の言葉が見つからないくらいだ。」
「だって。 だって、ご主人様が。」
 腕に縋りつきながら、咲織は三宅に甘えた瞳で非難した。  

「すぐに俺を言い訳に使う。 おまえが求めていないのなら、俺の掌を振り払えばいい。 おまえが婬濫でないなら、脚を開く訳が無い。 ちゃんと認めなさい。 自分が性の奴麗になるしかない婬濫極まりない女だという事を。」
 厳しい三宅の眼が咲織の躯を絡め取る。 もう恋人ごっこは終わりだとその眼は言っていた。 

「はい。 咲織は婬濫な奴麗です。 何処でも、何時でも、人目も気にせず、欲しがる婬濫な女です。 ごめんなさい。 ごめんなさい。」
 咲織の声は震えた。 哀しい台詞を口にしながら、咲織は心から謝っていた。 そして、赤く腫らした大きな瞳で何よりも、三宅の許しを求めていた。 

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☆ その2237=喉を焼くもの。 

「何を謝っている。 婬濫だと言う事はいい奴麗になる資質があると言う事だ。 それだけ俺が楽しめるからな。 もっと、もっと婬らになれ。 もっと、もっと、楽しませろ。」
 三宅の言葉に咲織は顔を上げた。 階段の出口が街の明かりで矩形に輝いていた。 その輝きが三宅を神々しく照らしている。 

「はい。 ご主人様に楽しんで頂きたいです。」
 言い終えた咲織の紅い唇が口付けを求める形を作る。 無意識だった。 
「いい心掛けだな。 その心掛けを後悔させてやろう。 それがマゾ奴麗を飼っているご主人様の優しさだろうからな。」
「後悔はしません。」
「よし。」
 三宅に頭を撫でられ、咲織は子犬の様に心の中で尻尾を振り続けた。 今にも泣き出しそうな切ない視線を三宅の顔に絡ませる。 その愛らしくも婬らな美少女の顔に負けてはならないと三宅はぷいと顔を逸らした。

「俺より上に行け。」
 咲織が見詰める背中越しに命令だけが下った。
「はい。」
 想いを三宅の背に残し、咲織は三宅の横を摺り抜けた。

「止まれ。 そして、ケツを出せ。」
 三宅の侮蔑的な命令に咲織の中で燃え続けていた婬らな燠火がちろちろと炎を上げ始める。
「ここで、ですか?」
 戸惑いに声を震わせながらも、咲織の掌はコートの背後に回されていた。

「そうだ。 ここでだ。」
「人が来たら?」
「人が来たら、奴麗のおまえが恥を掻くだけだ。 レストランに続く階段で女が剥き出しのケツをひり出していたら、ぎょっとはするだろうが、すぐにその太い首輪に気付いて合点するだろう。 もしかすると、叩いてくれるかも知れないぞ。」
「そ、そんな。」
 心臓がばくばくと痛いほど鼓動した。 共鳴したのか、子宮がぎゅんと収縮する。 羞恥に身を強張らせながらも、濡れていく我が身に咲織は気付いた。

「人に見られたくないのなら、早くした方がいいと思うが。 いずれにしても、奴麗のおまえに拒否権は無い。 繁華街の真ん中でケツをひり出すしか無いんだから。」
「ぁぁ。」
 哀切な呻きを小さく上げた。 喉を焼き、哀しい奴麗の諦めが躯の中を降りていく。

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☆ その2238=婬らな涙。

 咲織は震える掌でコートの裾を背中まで跳ね上げた。 下着を着けていない下半身が冷気に怯んだ。 今、尻たぼを剥き出そうとしているこの場所が三宅と二人きりの密室では無く、何時人が通るかも知れない屋外だと改めて知った。 ワンピースの裾で咲織の細い指が惑う。

「早くしろ。」
「はい。」

『ご主人様が怒っていらっしゃる。 怒らせたくない。 怒られたくない。 悦ばせたい。 可愛がられたい。 あの素敵な声で、可愛い奴麗だと。 あぁ、もうご主人様には逆らえない。 あの声で命じられたら、私はどんな恥も、どんな屈辱も受け入れてしまう。』

 押し殺した三宅の声に押されて、咲織の掌がワンピースの裾を持ち上げる。 冷気が直に咲織の丸い尻たぼを嬲っていった。 肉厚の双臀がきゅっと持ち上がる。 一つえくぼが暗がりに浮んだ。
 
「何時見ても真っ赤になるまで叩きたくなる可愛いおケツだ。 だが、叩いてやるご褒美は後に嫌という程取っておいてやる。 今はこれをおまえのケツの穴に入れてやろう。 これが何か判るな。」
 三宅はポケットから取り出した物を咲織の背後から見せ付けた。 それは三宅の掌に収まる程の長さで両端が丸い万年筆状をしていた。 

「あぁ。」
 咲織の哀しい溜息が凍った。

『これはローター。 あぁ、こんな物の用途が判る女になってしまった。 何処までも穢れていく。 それでいいのですね、ご主人様。』
 
 咲織の瞳の前でそのローターが捻られた。 モーター音がぶーんと婬らに響いた。 その音に咲織の胸が締め付けられる。 咲織の躯はそれが与える刺激を思って、哀しく捩れる。 

「舐めろ。 おまえの唾液を潤滑材にするんだ。 たっぷり舐めないと痛い思いをするのはおまえだ。 ま、何人もの男に犯されたおまえのケツの穴ならこのままでも美味しそうに飲み込むかもしれないが。」
 ローターを押し付けられた咲織の唇に婬らな振動が伝わって来る。 咲織は諦めに瞳を閉じた。 紅い唇を誰もいない虚空に開いていく。 ローターが我が物顔に咲織の口の中に入って来る。 嗚咽を堪え、咲織はローターに舌を絡めた。 モーター音がくぐもって直接咲織の耳を打つ。 伏せた長い睫毛を濡らして涙が溢れた。 そして咲織の躯は婬らな涙を冷気に晒した太腿の間から流そうとしていた。

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☆ その2239=独りで。

「何時まで舐めている。 本当に貪欲な女だ。 何時人に見られるか判らないんだぞ。」
 三宅は態と咲織の羞恥を煽った。 

「ううっ。」
 夜目にも白い咲織の尻たぼを割って、ローターが菊華に押し付けられた。 鈍い痛みが咲織の背骨を押し潰す。 逃げようとした細い腰が三宅の腕に捕まった。 

「痛いか。」
「はい。」
「我慢しろ。 この細さなら切れる事は無い。」
「あぁぁぁ。」
 声を出さまいと締め付けた喉を裂いて悲鳴が漏れる。 ずーんと痛みが肉に響いた。 三宅はローターをぐりぐりと右に左に捻じ込んでいく。 ひ弱な菊華が、そして尻たぼ全体が揺さぶられる。 咲織は階段に掌をついて耐えた。 ローターの振動が肉に響いた。 音が肉の中にくぐもっていく。

 挿入し易い様に先細りら整形されたローターは咲織の思いを嘲笑い、菊華の中にすっぽりとその毒々しいピンクの躯体を没していた。 それを更に奥へと三宅の長い指が押し込んでいく。 

 もうモーター音は漏れていなかった。 が、咲織はその音を自らの肉を通して聴いていた。 
直腸を無理矢理に震わせるそれは密着したもう一つの女の粘膜の鞘を我が物顔に震わせ始めていた。

『あぁ、震えている、私の中で。 感じてしまいます、ご主人様。 婬らなのですか?私が。 それとも、誰でもなんですか。 いいえ、きっと私が婬らなマゾだから感じてしまうのですね。 こんな街中で、お尻を剥き出しにして、ローターを事もあろうか菊華の中に入れられて、感じてしまう。 恥ずかしい。 恥ずかしい女。 嫌いにならないでください。』

 小柄ながらすらりと伸びた白い太腿がぷるぷるとさざ波を打っている様に感じられた。 恥かしさが咲織の胸にその細い糸で巻き付いてくる。 一巻き一巻きと雁字搦めに締め付けて来る。 

「本当に露出狂だな。 何時までケツを突き出している。 叩いてなんてやらないと言っただろう。」
 三宅の揶揄に咲織は慌ててワンピースの裾をぱたぱたと下ろした。

「俺の家は知っているな。 先に待っている。 ただし、タクシーは使うな。 キャリングケースは俺が持っていてやろう。」
 三宅は戸惑う咲織を一人置き去りにして、明るい街へと消えていった。

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☆ 開いて。

☆  今日はゴールデンウィーク初日と言うのに、ちょっと仕事が入ってしまいました。  アンドロメダはお休みをいただきます。 

☆ ただし、連休中も休まず連載しますから、是非是非「アンドロメダな朝」を読んで、充実の休日をお過ごしください。 
 

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☆ その2240=躯の中から。

『ご主人様ぁ。 酷い。 酷すぎます。 一人で行くのですか。 電車に乗って。 衆人環視の中を。 こんなに婬らになった躯で。 ピアスだけでも歩けないと言うのに。 ローターまで入れられて。 あぁ、立つ事さえ難しいのに。』

 置き去りにされて暫くは動けなかった。 咲織は階段の中ほどで哀しみを抱えて立ち尽くした。

『行かなきゃ。 ご主人様の元へ。 ご主人様は待っていて下さるんだから。 きっと、私が来るのをうずうずしながら。 どう責めてやろうかと、どう啼かせてやろうかと、考えを巡らされて。 ご主人様を待たせてはいけない。 早く行かなきゃ。 あぁ、早く会いたい。 会いたい、ご主人様に。 ご主人様のお顔が見たい。 ご主人様に抱かれたい。 ご主人様に包まれたい。』

 胸を掻き毟りたい程の思いだった。 今の今まで三宅の顔を見、その視線に包まれ、薫りを吸っていただけに、失った辛さは一入だった。 

 咲織は逸る心の儘に階段を昇った。 街の明かりに包まれ、人塵に身を投じると寂しさが一層咲織の胸を絞め付けた。 行き交う人々が敵意を持って行く手を阻んでいる様にさえ思えた。 
 
 笑顔と言う仮面を付けた人々の群れを掻き別けて、脚を進める。 ショーウインドーが輝く角を曲がろうとした時、咲織の躯は硬直した。 敏感な秘芽を擦り上げるピアスの刺激が、菊華を穿つローターの振動が、忘れるなと言わんばかりに突き上げて来た。 限界だった。 

 立ち止まった咲織の躯を感悩が揺さぶってくる。 じっと嵐が過ぎるのを待っても、時間と共に却って感悩は昂るばかりだった。 しゃがみ込みたい衝動をやっとの事で押さえ込み、咲織は立ち尽くした。 街のさんざめきが自分を嘲笑い、行き交う人の眼がコートの下の裸の肌を突き刺していく様だった。

『駄目。 立ち止まっちゃ。 何時までも会えない。 感じるのはご主人様に会ってからでいい。 ううん、ご主人様もいらっしゃらないのに、感じちゃ駄目なの。 咲織はご主人様の奴麗なんだから。 恥を掻くのも、苦痛にのたうつのも、感悩に身を委ねて悶えるのも、ご主人様の前だけ。 早く、早く。 会いたい。 会いたい。 ご主人様に会いたい。 もう、一人で居たくない。』 

 想いが感悩の縛めを越えた。 咲織は脚を踏みだした。 街の灯りの先に一歩歩く度に、脚を交差させる度に、秘芽を咬んだピアスが感悩の粘膜を擦った。 深々と躯の中に埋められたローターが直腸を擦り、子宮を揺さぶる。 無垢な人魚の座を棄てて、愛する王子のために足の裏にナイフを突き立てられるお伽噺の姫となって、咲織は自ら感悩の刃を肉に突き立てる様に、脚を前へ前へと進めた。 

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