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『アンドロメダな朝』美少女とご主人様の愛の物語・毎日過激に更新中 

【絶対R18】愛故に奴隷になった美少女と愛する者を責め苛まずにはいられない男の愛の行方は。

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☆ その2615=果の先。

 確かに咲織はその時、果てまで逝った。 頭の中で火花が飛び散る。 その中心の火の玉が爆ぜる。 余りの感悩に躯が粉々に吹き飛んだかと思えた。 

「ああああぁぁぁぁぁぁ。 逝くうぅぅぅぅぅぅ。」 
 そう思ったのも束の間、すぐに次の火の玉がむくむくと成長し、爆ぜる。 爆ぜる度に火の玉は膨れ上がった。 

「いや、いやっ、いやあぁぁぁぁ。 壊れますうぅぅぅ。 止めてえええ。」
 火の玉は最早、咲織の躯よりも遥かに大きく感じられた。 爆ぜたら本当に壊れてしまう、命の終わりさえ予感した。 生の本能が怯え、悲鳴を上げる。 愉悦を遥かに超えて、それは苦悶の極みに近かった。 そう、死と隣り合わせの。 咲織は麻縄を柔肌に喰い込ませ、がくがくと幾度も瘧を振るう。 

「壊れなさい。」
 杉山がその鋭い眼をらんらんと光らせ、電圧器のスイッチを上げた。 

「ぎゃあああああああああ。」  
 宙高く舞に舞っていた魂を鋭い電気の鞭が容赦なく打ち据えた。 一気に地獄まで叩き落される。 切れ掛けていた神経が軋みを上げながら躯の中でのたうつ。 全ての意識を粉々に打ち砕かれ、咲織はただ苦痛のどん底で機械仕掛けの壊れ掛けたマネキンの様に藻掻くしかなかった。 

 鋭い電気に焼かれる秘唇と菊華を早坂と佐竹が掌にしたバイブレーターが容赦なく揺さぶる。 守ってくれる包皮を失った秘芽が雷に打たれた様に反応した。 筋肉がばらばらに砕ける電気の痛みの中を鋭い感応が駆けぬけていく。

 咲織は苦悶の底で確かに逝った。 

「あああああああ。」
 愛らしい唇を汚して涎を垂らして、哭き続ける。 大きな瞳は白目さえ剥いて焦点を失っていた。 

 また杉山が電圧器のスイッチを切った。 時を失った静寂が訪れる。 咲織の躯はゆっくりと穏やかなひと時の死を迎える。 

「ぎゃぁぁぁああああああ。」
 咲織の唇が真っ赤な血にも似た悲鳴を放った。 また、杉山が電圧器のスイッチを入れた。 咲織はまた地獄の業火にその身を焼かれる。 静かな死を迎えては、雷に打たれて強引に蘇らせられ、地獄の苦しみの中で婬らに逝く。 幾度、その恐ろしいメビウスの輪を巡れば許されるのだろう。 咲織の躯は悲鳴を上げ続けた。

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☆ その2616=密着した胸。

 怖ろしい悪夢から文字通り稲妻に打たれて、地獄の底で目覚める。 すると、たちまちに荊で身を引き裂く痛みに意識は飛び、ただ痛みに哭き叫び、肉を痙攣させてのたうつのみの人形となり、再び全身から脂汗を流して魘されるのみの悪夢の中に引き摺り込まれる。 その繰り返しの中で、粉々に打ち砕かれた自意識から解放された咲織の中の感悩が幾度も幾度も絶頂を迎えた。 その肉の奥に刻まれた婬らな感覚がゆっくりと悪夢から目覚めつつある躯にぷつぷつと泡立つように蘇ってくる。 それが三宅ではなく見も知らない幾人もの男達の快楽の生贄となった末だと言う事が咲織を苦しめ、恥じ入らせる。 

「ああぁ。」
 咲織は小さく啼き、その自分の声に現に戻った。 手首が見えた。 その細い手首にはくっきりと朱い縄目が巻き付いていた。 躯中に付いているだろう縄目からじんじんと痒い痛みが発してくる。 それでいて、泥の様に指一つ動かせない躯が刻一刻と癒されていく、悪夢から慈しむ様に癒されていく感覚が染み渡っていくのを感じもした。 

 『ご主人様。』

 咲織はその優しく傷を癒す暖かさが何処から来るのか知った。 そして、それが逃げてしまうのを恐れて、言葉を飲み込んだ。 飲み込みながら、この感覚が何時までも続く事を願った。 咲織は湯船の中にいた。 その重さを失い、ふわふわと漂う咲織を三宅が産着の様に包んでいる。 咲織は湯よりも熱い涙が頬を伝うのを感じた。 そして、その涙の意味に三宅が気付くのが怖かった。 

「痛め付けられたものだな。」
 三宅の低い声が静かに浴槽に響く。 

『はい。 でも、でも、ご主人様に責められたかった。 ご主人様以外の人の掌で・・・。 お見捨てになられますか。 やはり。』

 咲織は返事が出来ず、ただ三宅の胸にしがみついた。

「いいマゾ奴麗ぷりだった。 見ていて、感じてしまった。」
 優しい三宅の口調に咲織は却って怯えた。 おずおずと三宅の背に回した指が細やかに震える。

「俺の物だと烙印を付けるのに相応しい奴麗だ。 一生手放す気が無い事の証明に。 例え誰に貸し出したとしても、俺の物だと誰にでも、おまえにも絶えず判る様に。」
 三宅の言葉に咲織の心がきゅんと収縮する。 熱い物が躯中に満ち溢れた。 返事の代わりに咲織は両腕でひしと三宅を抱き締める。 三宅の言葉に咲織が絶頂を迎えた事を密着させた胸の震えが伝えていた。


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☆ その2617=下着。

「可愛い奴だ。」
 三宅の掌が朱い縄痕、鞭痕を追って、咲織の肌を撫でていく。 優しく柔らかな指使いに咲織の肌がびりびりと震える。 咲織は三宅の首筋に小さな顔を埋め、啜り泣く様に喘ぐ。 一撫でされる度に咲織は逝った。

「あぁぁぁ。」
 スイッチが入れっぱなしになった様に、咲織は感じ続け、堪え切れずに小さく啼き続ける。 それを隠す様に、いやもっと感じたいとばかりに咲織は三宅にしがみ付いていた。

「本当に感じやすい躯だ。 逝きっぱなしか。」
 三宅に指摘されて、咲織は羞恥に染まる。 そして、三宅に与えられた羞恥にまたも感じてしまうのを止められなかった。 喘ぎ声を堪えた唇が幸せそうに戦慄いた。

「化粧など要らない顔だが、今日は特別な日だ。 その顔がより美しく映える様に化粧をしてきなさい。」
 咲織の柔肌の上を滑り落ちる雫を優しく拭きながら、三宅が咲織の耳元に囁く。 その耳朶を伝わる細やかな振動にさえ逝きそうになるのを堪え、咲織は頷く。

『ご主人様の前で。 恥ずかしい。』

 広いバスルームの片隅にしゃがみ、鏡の壁に向かいながらも、咲織は背後から注がれる三宅の視線に胸を震わせた。 羞恥と嬉しさが交々打ち寄せてくる。      

 アイライナーも使わなかった。 元々整った咲織の顔は化粧を施すほどに却って美貌を損ね、売り物の様になってしまう。 咲織はファンデを叩き、口紅を引いただけで、三宅を振り返った。 

「うん、綺麗だ。 立ちなさい。」
 言われてはにかみに頬を染めながら立ち上がった咲織の股間に三宅の掌が伸びた。 思わず逸らそうとする腰を咲織は強いて留めた。 
「リップわ貸しなさい。」
 三宅は渡された口紅で咲織の秘唇を飾った。 ぴたりと閉じてもすっと割れ目が伸びる上付きの秘唇が正に第二の唇さながらに誘う様に誇張されていた。 

『奴麗。 欲しそうな奴麗。 ご主人様の奴麗。』

 壁の鑑に映る自分の裸身から咲織は瞳を背けた。 
「これを着たら、和室に来なさい。」
 三宅に渡された籠の中には、買って貰ったドレスと一応持ってきていた下着までが入っていた。

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☆ その2618=不安。


 翅の様な下着を手に取って、咲織はその重さに震えた。 

『今更、下着を身に着けろとはどう言う事ですか。 もう奴麗としての役目は終えたと?』

 拡がる不安を振り払う様に咲織は下着を身に着けていった。 鏡に映った珍しく下着を身に着けた咲織は、一糸も身に纏わない何時もの裸身よりも扇情的に思えた。 

『脱がされたがっている。 ご主人様の掌で。 ご主人様もそれを望まれたなら。 そうだとしたら、どんなにか・・・。』

 咲織はざわつく胸に息を吸い込んでドレスを身に着けた。 まるで初めて大人の世界に足を踏み入れようとする少し背伸びをした少女の様な自分の姿が少し可笑しかった。

 廊下へと出るドアが重かった。 胸の奥に押し込んだ不安がまたぞろ顔を出す。 ドアノブに掛けた指に力が入らない。 鞭を受ける時以上に怯えが躯を支配していた。 それでいて、期待が、婬らで昏い背徳の期待がずむずむと肉を侵して拡がってくる。 

『他人に責められているおまえを見ていて、これまで感じた事が無い程に欲情した。 いつも胸の片隅にいた人は翳すら無くなり、おまえだけがこの胸の中にいた。 おまえを欲しいと、一生奴麗として責めたいと心から思った。』

 耳元でドレスを渡しながら独り言に語った三宅の言葉を胸に咲織は背筋を伸ばした。 力強い腕の感触が回された腰に蘇る。 咲織は下着に染みが出ないかを気にした。

 廊下に膝を突いて引き戸を開けた。 二間を抜いた和室はかなり広く、億の床の間を背にした三宅が遠く感じられる。 和装に身を包んだ三宅はいつも以上に威厳に溢れてみえた。 咲織は躯を和室に入れると、正座のまま声が掛かるのを待った。

 頭を垂れる前に見えた部屋の光景が網膜で点滅する。 漆黒の大きな和机の両側に男達が身嗜みを整えて整列していた。 そのどの顔も覚えていたが、誰が何を自分にしたのか分からなかった。 何れにしろ、どの男も咲織を自由に弄んだ事、咲織自身知らない様な躯の秘めた処まで知っている事だけは間違いが無かった。 咲織は顔が火照り、ぼんやりとしてくる畳の目をただ眺めていた。  

「来なさい。」
 三宅の声に咲織は俯いたまま和机の端までにじり寄った。 
「顔を上げなさい。」
 咲織はおずおずと顔を上げた。 注がれた男達の真っすぐな視線が先程までの玩弄を、その時の嬌態を思い出させる。 咲織はすぐに俯き、黒光りする机に視線を走らせ、そこに映る三宅の姿を探した。 その円らな瞳は親を失くした子猫の様に怯え、潤んでいた。

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☆ その2619=心に刻むもの。

「まるで初めて店に出た女の子の様に俯いてばかりいるじゃないか。 顔をちゃんと上げなさい。 これから生涯俺の物だと烙印を押される奴麗の顔を皆さんに良く見て頂くんだ。 今更、何を恥じらっている? ここにいるのは俺は勿論、全員お前の躯の隅々まで知っている人達だけだ。 さっきまで人も世も無く、破廉恥にも大股を開いてよがっていた婬濫奴麗だろ、おまえは。」
 三宅の怒気を含んだ言葉が咲織の胸を締め付ける。 咲織は震えながらも顔を上げた。  
そして、初めて三宅から距離を置いた部屋の隅に麗子と江梨菜を見つけた。 二人は何時になく蒼白な顔を強張らせて、咲織に向けて慈しむ様な眼を向けていた。 

「そうだ。 その顔だ。 胸を張りなさい。 俺の奴麗として誇らしげに。」
「はい。」

『そう。 私はご主人様の奴麗。 奴麗であることを卑下したらご主人様に悪い。』

 咲織は膝の上の両手をぎゅっと握り、背筋を伸ばした。 頬が熱く感じられた。 

「俺に生涯奴麗として仕えると自ら書いた奴麗誓約書の文言は覚えているな。」

『覚えています。 哀しい、哀し過ぎる最後の条文も。 だから、今日もこの人達に身を任せた。 そんな条文が無くても、私には途中で逃げ出す事など考えられなかったけど。 あぁ、これからも、これからも貸し出されるのですか。 この私を見知らぬ人に。』 

 咲織は視線を机に落とし、唇を噛んだ。 噛まなければ声が漏れそうだった。 哀しく、非難するような声を。

「覚えているんだな。 毎日、一度は声に出して心に刻めと言って置いたんだから。」
「はい。」
 三宅の声に押され、咲織は小さく答えたものの三宅の次の言葉が怖くて子鼠の様に震えた。
「そうか、ではその誓約書の文言を唱えなさい。 烙印を押す前に、改めてお前の覚悟を俺に示して欲しい。 お前を知っている皆さんがお前の覚悟の証人になってくれる。 間違わずに言えよ。」
 三宅の最後の声は暖かいものだった。 その中に幾ばくかの緊張を隠しているのを咲織は感じた。 

『ご主人様が緊張していらっしゃる。 本当にこの躯にご主人様の物と言う消えない烙印が押される。 恥ずかしがってちゃいけない。 これから、改めてご主人様の奴麗にして頂くのだから。』

咲織は居住まいを正した。


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☆ その2620=悲しい約束。

「はい。 私、橋本咲織は三宅一樹様をご主人様とし、全ての権利・自由をご主人様に委ねた奴麗として、以下のことを誓います。」
 一旦誓約書を口にし出すと、恥ずかしさは消えていき、代りに何処か誇らしげな思いが胸に拡がっていった。 咲織ははっきりとした声で、自分に言い聞かせるように文言を口にした。

「一つ、ご主人様の奴麗として生涯、ご主人様だけにお仕えすることを誓います。
 一つ、御主人様のあらゆるご命令に絶対服従し、何時如何なる場合にも一切異議を唱え 
   ないことを誓います。
 一つ、ご主人様の喜びを、そのまま私の喜びとし、ご主人様の前に心と身体の全てを差   
   し出し、ご奉仕することを誓います。
 一つ、ご主人様からのご調教は、肉体的、精神的な苦痛を伴うものであればある程快感
   に転じ、どんなものであっても心より感謝し、喜んで受けすることを誓います。

『あぁ、読みながら濡れていく。 ご主人様に、この場でも押し倒されたい。 ご主人様に欲しいと思われたい。 鞭でもいい、ご主人様にこの躯を使われたい。 本当にご主人様の奴麗になって良かった。 私はご主人様の奴麗になるしかない人間、いいえ、奴麗になるしかない奴麗だった。 抱いて、ご主人様。』

 咲織の暗唱する口調が艶を帯びていく。 咲織が口にする誓約書の内容は人格を無視した非常識極まりないものなのに、咲織の口を通して語られるそれはまるで愛を捧げ、貪ろうとする艶やかな恋歌の様に聞こえた。 男達はごくりと生唾を飲み込んで冷静さを保ち、女達は眼を妖しく潤ませた。

「一つ、ご主人様からのご命令に従えない場合、またご満足のいくご奉仕が出来なかった
   際には、どんなお仕置きでも喜んでお受けすることを誓います。
 一つ、ご主人様に何時でもより快適に奴麗の躯を性具としてお使い頂けるよう、常に口・
   秘唇・菊華その他の肉体を清潔に保ち、また御主人様のお好みに合わせ性能の向上
   に努めることを誓います。
 一つ、ご主人様のご指示により、奴麗であることの証を肉体に刻み、あるいは御主人様
   のお好みにより肉体改造を受け入れることを誓います。
 一つ、ご主人様からのご命令に従えない場合、またご満足のいくご奉仕が出来なかった
   際には、二度とその様な粗相をしない様、如何なる罰も心から歓んで受けさせて頂
   くことを誓います。」

 咲織はそこまで読み上げると、懇願するように切なくも甘えた大きな瞳を三宅に向けた。

『やはり、この口から言葉にしなくてはいけませんか。 もう、もう二度と、ご主人様以外の人には指一本触れられたくはないのに、例え腕の肌でも見られたくはないのに。』 

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☆ その2621=奴隷の存在理由。

 咲織に注がれた三宅の眼差しは優しさを湛えてはいたが、厳格さを漲らせていた。 

『抗える訳が無い。 ご主人様にあの眼で見つめられたら、ご主人様のご命令を受けたら、私は、この躯は溶けてしまう。 どれ程後で辛いと判っていても。 そして、この躯は邪な悦びに酔う。 婬らな奴麗。 ご主人様は全てを判って・・・。』

 厭でも自分を散々弄んだ男達の姿が瞳の端に映る。 先程までの玩弄が、肉の痛みが、胸の軋みがまざまざと蘇る。 哀しみの中で、またも濡れていた。 咲織はもぞもぞと腰を浮かし、胸の奥で哭いた。   

「一つ、ご主人様がご指定された任意の第三者に貸し出された時は、ご主人様にお仕えす
   るのと同様に心と身体の全てを差し出し、誠心誠意ご奉仕することを誓います。」
 胸に溢れた血を吐き出す様に言い終わると、咲織は畳に掌を突いて躯を支え、細い肩を震わせた。  
   
「お前が生涯奴麗として俺だけに仕えると誓ってくれた様に、俺もお前を生涯奴麗として所有し続ける。 いいな。」

『一生所有して頂ける。 ご主人様ははっきりと仰ってくれた。 一生奴麗としてご主人様に仕えれる。 嬉しい。 嬉し過ぎます、ご主人様。』

 きっぱりとした三宅の言葉に咲織は涙が溢れるのを止められなかった。 咲織は次の言葉を待った。

「裸になってこの机の上に横たわりなさい。」
 聞こえてきた三宅の言葉は甘い恋の言葉では無かった。 それでも、咲織の躯は三宅自身に命じられた事に悦びを感じた。 突然の無体な命令にも咲織は三宅を見詰めたまま立ち上がり、背中に手を回していた。 

 静かに凝固した部屋の空気をジッパーを下げる音が揺らした。 注がれる居並ぶ人々の視線が柔肌に突き刺さる。 麗子までもがきちんとドレスアップしている中、一人ストリップショーを演じている事に今更ながら気が付く。 ドレスの肩に掛けた咲織の手が止まった。 誓約書を暗唱しながら、濡れた事が思い起された。

『駄目。 ちゃんとストリップを演じなければ。 ご主人様のご命令は何時、どんな時でも絶対。 絶対に逆らう事も、異議を差し挟むことも、躊躇することさえも許されない。 だって、私は身も心も全てご主人様に捧げた奴麗なんだから。 ご主人様が恥を掻けと仰ったら、恥を掻けばいい。 それが、ご主人様のご命令に従う事、それだけが奴麗の唯一の存在理由なんだから。』

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☆ その2622=人体固定。

「うむ。」
 まるで『誇れ。 俺の奴麗である事を誇れ。』と言っている様な三宅の眼にも促され、咲織は背を伸ばした。 衣擦れの軽い音を残して、ドレスが畳に落ちる。
 
 ミルクをそのまま固めた様な柔肌にまだ朱い縄痕が巻き付いていた。 その危うい躯からブラを剥ぎ取り、ショーツを紅い爪先から抜き取る。 男達の溜息が部屋の空気を湿らせた。  

 咲織は一つ息を吐くと、その身を捧げる様に漆黒の机の上に白い裸身を横たえた。 艶やかな漆が肌に冷たい。 咲織は裸身である事を意識した。 微かに細い腰が揺れた。 胸の膨らみが重かった。 男達は誰もすぐ目の前の咲織の裸身に手を伸ばそうとはしなかった。 それはもう男達の物ではなく、神の祭壇に捧げられた聖なる供物だった。 だが、同時にその美しさ、脆さが男達の性を目覚めさせもする。 男達の熱が咲織の柔肌を火照らせた。  

『怖い。 一体、ご主人様は・・・。 全てを受け入れるの。 ご主人様が私にしてくれる事の全てを。』

 衆人環視の中、自分だけが裸身を全てを曝している羞恥を押し退けて不安が咲織の胸に膨れ上がった。 それでも三宅が自分の躯にすることの全てを見なくてはと咲織は大きな瞳を見開き続けた。 天井を飾る檜の格子が瞳の中でぐにゃりと歪む。

「躯から力を抜きなさい。」
 三宅の腕が咲織の肩を抱き、咲織の上体が起こされた。 その掌の力強さに咲織の不安が溶けていく。 

「杉山さん、お願いします。」
「承知。」
 三宅の言葉に仕事着の作務衣をきりっと着こなした杉山の手が動いた。 縄音が心地良く響き、咲織の腰に縄が巻かれていく。 三宅の掌に肩を抱かれ、咲織はうっとりと自分の腰を絞める縄を眺めていた。

「少しでも動く余地があれば、その肌や下手をすると骨にまで傷を負いかねない。 それでなくても動けば折角の烙印が醜く乱れる。 絶対に動かない様に縛りますから、何時もよりずっときついですよ。」
 杉山の言葉通り、縄は一巻する毎に咲織の息を奪う程躯に締め付けた。 只でさえ華奢な咲織の腰が砂時計を思わせて括れていく。 それに連れて丸い尻が張り出して見える。

 杉山は咲織の腰だけでなく、胸の上下にも縄を掛けていった。 三重どころか四重にも巻かれた縄に挟まれて、たわわな胸がまん丸く突き出される。

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☆ その2623=歓びの声。

 肌に感じる三宅の温もりに、洗い髪に係る三宅の吐息に咲織の躯は蕩けていった。 一巻ごとに骨さえ軋む縄の締め付けさえもが思いの強さにさえ感じられる。 咲織の裸身は縄に息を奪われながら、秘かに逝った。 弱弱しく後ろ手に三宅に回された咲織の細い腕がぴくぴくと恍惚に震えた。

「あぁ。」
 三宅の掌が肌を離れる寂しさに咲織の喉が鳴った。 その肩を杉山の掌が職人然と掴む。 咲織は去っていった甘い時を恨み、その身を職人技に任せた。 杉山は咲織を再び机に横たえると腰に巻いた縄の先を左右に伸ばし、机の下を通して一つに結び付けた。 胸の上下の縛めも同様に固く結ばれ、両の手首にも縄掛けされて左右に引き伸ばされると咲織は上体を揺らす事さえ叶わなくなっていた。  

「両脚を開きなさい。 踵が机から食み出すまで。」
 三宅の命令が咲織を現に戻した。 言葉も無く、朱い縄目に飾られた白い脚が黒い机を滑っていく。 きゅっと締まった足首が縄に隠れ、すっと上がった脹脛に達する程に杉山は幾重にもそして密に縄を掛けるとその縄尻を机の下に潜らせた。 反対側の足首も机から食み出すまで引っ張られると咲織の両脚は黒い机の上に白く一の字を描いた。 その中心で赤々と紅を引かれた秘唇が何もかも受け入れると微かに微笑んでいる様だった。

「良しっ。」
 自分の仕事を確認し終えた杉山が安堵の声を発した。 却って、咲織は縄の中での細い息すら憚られる程に部屋の空気が固くなった気がした。 

「これだ。」 
 上を向いた咲織の眼前に三宅が金属の鏝の様な物を翳した。 金属棒の先に名札程の金属板が付いている。 
「読んでみなさい。 逆さ文字だがはっきりと読めるだろう。」
 三宅の言葉に咲織の焦点が合った。 浮き出し文字が二列並んでいた。 一つ一つの文字は一円玉よりやや小さい。 上の段は『一樹所有』、そしてその下の段には『奴麗咲織』とはっきり読み取れた。 

『一樹所有。 ご主人様のお名前がはっきりと。 一樹所有。 あぁ、ご主人様に所有して頂けるんですね。 あぁ、私はご主人様の所有物。 一樹所有、奴麗咲織。 そう、私はご主人様に所有頂いている奴麗。 生涯、この身も心も所有してください、ご主人様。』 

「何て書いてあるか、声に出してみなさい。」
「一樹所有、奴麗咲織。」
 その声は歓びに震え、そして、それを高らかに謳っていた。

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☆ その2624=烙印。

「嬉しそうだな。」
「はい、嬉しいです。 ずっと、ずっとご主人様の物だと言う証しが欲しかったから。 この肌に一生消えない証しを印して頂けるなんて、凄く嬉しいです。」
 咲織はまるで愛しい人から婚約指輪をプレゼントされた女の様に貌を輝かせた。 

「どうやってその証しをこの肌に付けるのか判っているのか。」
「はい。 焼印ですよね。」
 咲織は当たり前の事を聞かれた様に柔らかな頬を少し膨らませた。

「そうだ。 これは焼き鏝だ。 饅頭や煎餅に印される屋号なんかを付ける焼き鏝だ。 熟練の職人に文字だけがくっきりと焼き付く様に普通の焼き鏝よりも深く掘り出して貰った。 それだけ、深くお前の綺麗な肌に焼き痕が残ると言う事だ。」
「深い?」
「そう、指で触れただけで読めるくらいに。」
「嬉しい。 それなら、何時でもご主人様のものだと自分で確認できますね。」
「まったく、何処までも奴麗だな、おまえは。」
「ご主人様の奴麗ですから。」
 咲織は多くの人に見られている事も、躯の自由を奪われている事も忘れて、微笑んだ。

「何処に付けて欲しい。」
 三宅の指が咲織の胸元から胸球をなぞった。 擽ったそうに、そして悦びも露わに咲織の艶肌がひくっと波を打つ。
「何処でも。 ご主人様がお付けになりたい処なら何処でも。」
 咲織の大きな瞳が恋を語って潤う。

「ここか? ここか? それともここか?」
「あっ。 ぁん。 あぁ。」
 三宅の指が咲織の胸球が作る谷間の上、胸球の膨らみ、そしてその頂きの蕾と動いていく。 その度に咲織は小さく声を上げた。 左右に開かれた脚の先で、爪先がきゅっと結ばれる。 

「ここでもいいのか。 乳首を一つ失ってもいいと言うのか。」
「ご主人様が望まれるのなら。 蕾もご主人様の物ですから。」
「いい覚悟だ。」
 三宅の指が胸球を降り、臍を通り、赤く紅を引かれた秘唇の上、ぶっくりと膨れた恥丘の上で止まった。 

「色々考えて、ここに印そうと決めた。 ここなら、水着も着られるし、おまえの美しい躯を愉しむのにも邪魔にならない。 そして、裸になれば嫌でもお前は瞳にする事になる。 もちろん、お前を抱く俺の眼にも、お前を貸し出したどの男の眼にもな。」

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☆ その2625=焼き印を記された奴麗。

「いいな。 ここで。」
「はい。 構いません。 いいえ、嬉しいです。」
 咲織の潤んだ大きな瞳が真っ直ぐに三宅を見詰めた。
「じゃあ、決まりだな。 ここだ。」
 三宅は机を回り、咲織の下に腰を下ろした。 精悍な貌を強張らせ、咲織の肌にマーカーの点を付けた。 白い肌に印された黒い点の位置を幾度も見ると、深々と息をした。 

「舌を噛まない様にこれでも噛んでおけ。 焼き鏝が焼けるまで、自分の垂らした婬蜜でもしゃぶっているんだな。」
「うぐっ。」
 三宅は咲織の口の中に咲織の脱いだショーツを押し込んだ。 更に麻縄で猿轡を咬ませた。 

 三宅は大型のガスバーナーを咲織の股間の下に置き、火を付けた。 ぼっと音を立てて燃え上がった青白い炎の輪の大きさに皆が固唾を飲んだ。 その炎に翳された焼き鏝の板はたちまちに銀色を失い、代りに朱く光り始める。 全員が絵に描かれた人物の様に固まっていた。 その中で炎だけが生き生きと輝き、焼き鏝を喰らう様に包んでいた。 

「よしっ。」
 バーナーを畳に置くと三宅は気合を入れた。 その声に庭との間の障子がびりっと震えた。 三宅は左手を咲織の腰横に置き、身を大きく乗り出させた。 真っ赤に熱を発する焼き鏝を咲織の下腹部に描いたマーカーの上に翳す。 その放射熱に咲織の躯がぴくりと反応した。

 誰もが『じゅっ』と言う肉が焼ける音を聞いた気がした。 時が止まり、部屋全体が男達を包んだままガラスの中に封じ込めた様な静謐が支配した。 

 咲織の手脚を引き伸ばされた四肢が硬直した。 杉山が慎重に幾重にも巻いていなければ、麻縄が肌を破り肉を裂くほどに咲織は裸身を仰け反らせた。 

「う゛ぎゃあぁぁぁぁぁぁ。」
 一拍を置いて、咲織は猿轡の麻縄を噛み切る程に歯を食い縛り、悲鳴に喉を振るわせた。 ショーツを押し込まれくぐもった叫びがそれ故に凄まじく、居並ぶ者の胸を揺さぶる。 皆、耳を塞ぐ事も忘れ、息も忘れて、魂を奪われた亡者の体で咲織に当てられた金鏝が赤い光を失っていくのを祈る様に見守った。

 三宅は木の板で幾度も確かめた通りに、胸の中で数を数えた。 体を支える腕が怖れに震えていた。 余りに長い数秒間が過ぎた。

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☆ その2626=幸せな奴麗。

 熱いと感じる余裕はなかった。 痛みを超えた衝撃波がいきなり脳髄を襲った。 逃れたいとか思う余裕も無く、次の瞬間にはただ哭き叫んでいた。 哭いても哭いても、痛みは背骨を貫き、全身を砕いた。 その苦しみがまだ続いていた。 

「ううぅぅっ。」
 咲織は躯の中から沸き起こる炎に炙られる苦しみに躯を丸め、そこにあったものに抱きついた。 
「痛むか。」
 三宅の声に咲織は現に舞い戻った。 今、地獄の底ではなくベッドの中にいる事、しかも抱き付いているものが三宅である事に気が付いた。 痛みも忘れ、歓びが地の底から湧き上がり、全身が痺れた様に震えだす。 その熱い思いを伝える様に咲織はぎゅっと三宅にしがみ付いた。

「痛むのか。」
 三宅の暖かな声に咲織は涙が溢れるのを堪えられなかった。 込み上げる嗚咽を隠す様に三宅の胸に顔を埋めた。 躯中から悦びが湧き上がる。 

『ずきずきします。 夢じゃなかった。 本当に私はご主人様のお印を焼き付けて貰っていた。 ご主人様の印がずきずきと鼓動している。 ご主人様の奴麗だと言う証しが、自己主張しているみたい。』

「いいえ。」    
 焼き鏝を当てられた下腹部からは痛みが脈打ってくるものの先程夢うつつに感じた耐えられない痛みでは無かった。 むしろ、そこに三宅との絆の証しが刻まれていると思うと咲織はその痛みを愛おしくさえ感じた。 咲織は確かめたくて自分の下腹部に視線を落とした。 
「あっ。」
 咲織はそこに赤々と腫れた火傷痕ではなく、手当の跡を発見した。 
「麗子さんがすぐに手当てをしてくれた。 雅志が予め化膿止めと、火傷の予後が良くなるように薬や絆創膏を用意してくれていた。 それに余りお前が苦しまないように鎮痛剤と念のための抗生物質も飲ませてくれた。 お蔭で良く眠ったな。」
 三宅の掌が咲織の頭を包む様に撫でた。
「多分、ケロイドにはならないで、綺麗に刻印が読める様になるだろうと言う話だ。 防水の絆創膏で措置してくれたから、風呂には入れるそうだ。 予備の薬やら絆創膏やらも持ってきてくれていたが、暫くは自分で張り替えずに、麗子さんの手当てを受けて欲しいそうだ。 と言う事だから、焼き痕を自分の瞳で見るのは当分お預けだ。」 
「はい。 その時は一緒に見て頂けますか。」
「もちろんだ。 ついでに焼き印が目立つ様に黒々と墨も入れて貰おうと思っている。 薄赤い火傷痕では詰まらないからな。」
 咲織は甘い感悩が喉元まで満ちて来るのを感じた。

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☆ その2627=恐ろしい幸せ。

 幸せな朝だった。 咲織は全身を三宅に包まれ、躯に刻まれた焼き印が疼く度に幸福を噛み締めた。 

 三宅を抱き締める躯の自由を奪われる寂しさに、鞭打たれる痛みに、素肌を光の中に曝さなくてはならない恥ずかしさに怯え、そしてそれらの責苦を何時しか期待してしまう奴麗の習性を咲織が忘れるまで、三宅は咲織をまるで恋人を慈しむ様に抱き続けた。 陽の光が冬の冷気を懐柔しにかかった昼近くまで、咲織は飽く事無く三宅に包まれていた。  

 三宅に手を引かれ和室に入った。 昨晩、自分の裸身をらんらんと見ていた男達の眼はもうそこには無く、清楚なブラウス姿の麗子だけが穏やかな笑みを湛えて控えていた。   
 咲織が縛り付けられた大きな和机の上には白木のお重が広げられていた。
「もう年が明けたんですね。」
「お前にはもうか。」
「はい。 もうです。 だって、秘書課は他の部署より早く四日には会社に行かなくちゃなりません。 ご主人様と一緒に暮らせるのも後二日。」
「後二日か。 ここに座れ。」     
 三宅は床の間を背に寛ぐと、何処に座るべきか迷っている咲織に自分の膝の上を指示した。

『ご主人様のお膝の上に? 子供みたいに。 嬉し過ぎます。 そんな麗子さんのいる前で。  あぁ、子供みたいにご主人様のお膝に抱えられたら・・・。』 

 逡巡を見せる咲織の手を三宅はぐいと引っ張った。 ぐらりと蹌踉けた咲織の腰に腕を回し、三宅はまるで子供をあやす様に咲織を軽々と膝の上に抱え込んだ。 

「咲織ちゃんは小柄な上に脚が長くて座高が子供くらいに低いから、幾つになってもお父さんのお膝を独占したがる甘えんぼさんそのものね。」
 朗らかに笑う麗子の背後で庭の緑に染まった陽の光が遊んでいる。 咲織は照れながらも唇の端が綻びるのを止められなかった。
「はは。 今日は甘えんぼの俺の子でいなさい。 お節も俺が食べさせてやる。 ほら、あーんしなさい。」
 三宅は本当に子煩悩な父の役を楽しそうに演じ、これか、これかと言っては、お節を咲織の口に運んだ。 母と言うには若すぎるが、優しい眼差しで包んでくれる麗子と三人の元旦を咲織も心から楽しんだ。  

「お前は俺の奴麗。 俺の命令なら何でも従うんだったな。」
「はい。 ご主人様のご命令なら、どんな事でも従います。 咲織は奴麗ですから。」
 三宅の生真面目な声に、咲織はドレスの裾を直した。 
「そうか。 じゃあ、これに署名しなさい。」 
 三宅は薄紙を机に広げた。

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☆ その2628=奴隷妻。

「こ、これは?」
 紙に書かれた文字に、咲織は腰に回された三宅の腕をぎゅっと掴んだ。 大きな瞳は印刷された文字に射られ見開いたまま固まった。
「読めないのか。」
「どういう事ですか。」
「そういう事だ。」
「どういうお積りですか。」
 不安に肩を震わせながら、三宅の真意を知りたいと首を巡らせた咲織の唇を三宅は奪った。 抗ったのは一瞬だった。 三宅の唇が触れた瞬間、咲織の中を甘い衝撃が走る。   

『あり得ない。 あってはいけない。 これは夢? それとも、悪夢の予兆? こんな事あっていい筈がないのに。 私はご主人様の奴麗でいい。 奴麗で。 でも、でも。 嬉しい。 嬉し過ぎます。 本当にいいのですか。 この私で。』

 三宅は腕の中の女の躯から力が抜け、女の肉が自分の腕の形になってもなお口を吸い続けた。 腕の中で女の躯がひくひくと幾度も震える。 口付けだけで悦びを爆ぜさせる女を抱き締める。 その力に呼応して、女はまた逝く。 三宅は女が逝き果て、腕の中で小さな肉塊になるまでその唇を放さなかった。

「お前は俺の奴麗だと言う焼き印を一生その身に刻んで生きていくしかない。 なら俺はその焼き印ごと一生お前を所有し続ける。 その覚悟の上での焼き印だと言う事だ。」
 恋に蕩けた女に男の言葉を理解する理性は無かった。 ただ、男の言葉を慈雨の様に全身で受け、そしてその身に染みさせた。 
「嬉しいです。 嬉し過ぎます。 でも、でも。 ご主人様のご負担にはなりたくありません。 ご主人様を束縛したくはありません。 義務にはなりたくありません。 ご主人様は何時も自由でいてください。 自由の無い身は私だけでいいです。 私はご主人様の奴麗。 ご主人様に自由を全て捧げて、ご主人様の自由に使われる事で、初めて翅を拡げて飛び立てるんです。」
 咲織は涙に飾られた大きな瞳を三宅に向けた。 その瞳にも三宅は口付けをした。 舌の先で長い睫毛がふるふると怯え、歓びを伝えた。

「要らぬ心配だ。 これは俺の覚悟を俺に示すためのものだ。 決して、これを書いたからと言ってお前が俺の奴麗でなくなる訳じゃない。 俺は何時でも何処でも好きな時にお前を裸にし、お前の躯を愉しみ、お前に苦痛と恥辱を与えて、お前が身悶えするする姿を愉しむ事に変わりは無い。 そして、何時でもおまえに飽きたら、お前を雅志にでも誰にでも売る積りだ。 お前の意志とは関係なくな。」
 三宅は咲織の掌にペンを持たせた。 咲織は頷き、妻になる人と印刷された氏名欄に橋本咲織と書いた。

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☆ その2629=幸せが過ぎて。

 人が喜びに体を震わせるのは、長年の望みが叶った時だ。 幾らいい事ではあっても、望む事すらしなかった事が起きた時、人は喜ぶどころか、起きた事を消化できないでただ呆然としてしまう。 この時の咲織がそうだった。 三宅との結婚など、三宅の妻になる事など、出会って恋をした時から一度も無かった。 咲織が三宅に望んだ事は、例え性の奴隷としてでも自分を必要としてくれる事、自分が三宅に歓びを与えられる存在になる事だけだった。 そして、願わくば少しでも多くの時間傍にいたいと願った。 妻の地位など余りに遠くて、頭の片隅にも浮かべた事は無かった。 それが、今現実に三宅の名前と自分の名前が書かれた婚姻届を瞳にしても現実感すらなかった。 自分の名を書いたのも三宅の命令に従っただけで、鞭を受けるのと何ら変わりのない反応だった。 否、鞭を受ける前に込み上げてくる恐れとそれを超える歓びも無かった。 咲織は自動人形の様に婚姻届に名前を書き、それを三宅に差し出した。 それが意味する事も、これから自分の身に起きる事も何も考えられずに。

「良し。 婚姻の日は元旦の今日がいい。 今日中に役所に届けよう。 行くぞ。」
「どちらへ?」
 立ち上がって手を引く三宅を咲織はぼうっと見つめた。 
「決まっているだろう。 お前はまだ未成年者だからな。 婚姻届のその他欄にお前のお母さんのこの結婚に同意すると言う署名捺印を貰いに行くんだ。 鎌倉までなら悠々今日中に役所に提出できる。」
「あぁ。 はい。」
 咲織は三宅の言葉をまるで本の中の言葉の様に聞いていた。 それを自分の事として捉える事はまだ出来なかった。 ただ咲織は絶対的存在の三宅に手を引かれ、車に乗り、鎌倉の自宅へと向かった。 

『あぁ、ご主人様。 咲織の躯にご主人様のお名前が刻まれている。 どんな時でも、何処へ行っても、咲織はご主人様の奴麗。 この躯がこの世から消える時まで。 あぁ、幸せです。』

 咲織はドレスの上からそっと下腹に触れた。 麗子がした手当のために多分焼き抉れたであろう焼き印の文字は判らないのが少し寂しかった。 それでも、優美先に伝わってくるちりちりとした痛みがまるで産声を上げている様で、嬉しく、そして愛おしかった。 

 車は市街から高速に入った。 シフトレバーから解放された三宅の掌がドレスの裾をふわりと捲り、咲織の太腿を弾力を確かめるように一二度往復してぴたりと吸い付いた。   

『ご主人様の掌、暖かい。 力強い。 胸に顔を埋められたらいいのに。』

 元旦の昼に何時もの渋滞は無く、青い空に浮かんだ白い雲がオレンジ色の低いボンネットを軽快に流れていた。 ウインドグラス越しに波頭がきらきらと瞬く。 真っ直ぐ前を向いた咲織の瞳には何も映っていなかった。 

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