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『アンドロメダな朝』美少女とご主人様の愛の物語・毎日過激に更新中 

【絶対R18】愛故に奴隷になった美少女と愛する者を責め苛まずにはいられない男の愛の行方は。

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☆ その1921=覚醒。

『我を忘れていたか。 あの時の様に。 また夢中で打ってしまった様だ。 狂った様に。 この血の沸き立つ儘に。 自分の血を抑えて、女の反応を楽しんできた筈が。 似ているからかあの時の彼女に。 いや、この女は、咲織は特別だ。 初めて、欲しいと、全てを手に入れたいと思った女。 それだけに、最初から心してきたのに。 魔物かも知れない。 まだ青いのかも知れない、奴麗を持つには。 が、もう遅い。 もう手放せはしない。 二人で何処まで堕ちれるか。 壊してしまうまで、壊れてしまうまで、地獄道を楽しむとするか。』

 三宅は再び咲織の股間に顔を埋めた。 躊躇わず、咲織の比較的小さな秘唇ごと口に啜り込む。 むにゅりと口腔を刺激する咲織の花びらを吸った。 舌先でその柔らかでぬっとりと絡みつくトロの様な感触を楽しむ。 

 舌先が小豆ほどに小さな肉芽を見つけた。 口を窄めて、その肉芽をちゅうちゅうと啜る。 纏った薄いベールの下で、咲織の肉芽は息づき、まるで覚醒した様にこりこりとした感触を三宅の舌に反してきた。

 三宅の頬を挟む滑らかな裡腿に心なしか力が籠められた様に感じられた。 三宅は咲織の肉芽の舌触りを楽しみながら、手を咲織の吸い付く肌の上に滑らせていく。 きゅっと締まった腰から平らな下腹そして胸へと。 

 その掌に導かれるように三宅は唇を這わせていった。 唇の動きに従って、その下の咲織の肌がぴくんとさざ波を打つ。 唇に応えるように肌の方から吸い付いてくる。 三宅は鞭の洗濯ばさみの咬み痕を癒すように舐め取っていく。 

「あ、うん。」
 三宅の唇がさくらんぼの蕾にも満たない桃色の乳首を捉えた時、咲織は命を吹き込まれたかの様に小さな声を上げた。 躯の横に置かれた腕がぴくりと動きかけた。  
 
 三宅は咲織に構わず、乳首を口の中で転がし、舌先で既に固まった血玉を舐め取る。 大きな掌で包む様に乳房をやわやわと揉みしだき続けた。 傷ついた咲織の柔肌はその掌を咎めはしなかった。 むしろ、もっと傷つけてもいいと言うように慈悲深くその掌を受け入れ、温かな息吹を返して慰めてくる。

「何時から目覚めていた?」
 三宅が顔を上げた。 
「今、たった今目覚めました。 ご主人様の優しい口付けで、お伽噺の姫の様に。」
 咲織の腕が三宅の頭をおずおずと、それでいてしっかりと自分の胸に押し付けた。 

「あぁぁぁ。 また、逝きます。 ご主人様。」
 咲織は柔らかに恍惚の表情を浮かべていた。

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☆ その1922=歓びの朝。

 何度、逝っただろうか。 どれ程、心が温かな安らぎで満たされただろうか。 
幾度も幾度も脳裏で性の歓びが煌めいた。 その間隙を幸せな潤いが埋めていった。 

『あぁ、ご主人様。 怖いです。 幸せ過ぎて。 本当に。 このまま、このままずっと抱き締められていたなら。 このまま、ご主人様の重みを感じていられたなら。 逝きたくない。 感じ過ぎて、この幸福を味わえないから。 あっ、また。 また逝ってしまう。 あっ、ご主人様。』

 躯中が満たされぬ花びらの代わりに性感帯になったみたいだった。 三宅が乳首を舌で転がす度に、歓びの閃光が躯を貫く。 三宅の掌が胸を揉む度に性感が昂った。 

 三宅の腕が咲織の華奢な裸身を掻き抱く。 その腕に力が籠められ、細っこい骨が軋む。 その軋みは咲織にとって、歓びの叫びだった。 咲織は歓びの儘に三宅を抱き締めた。 三宅が咲織の唇を奪い、舌を吸う。 千切れる程の痛みが走り、脳裏で快感となって弾けた。

 躯が気怠く、重かった。 抱き締められる度に、いやじっとベッドに横たわっていても、躯中がひりひりと痛んだ。 痛むのは尻たぼなのか、乳房なのか、乳首なのか、秘唇なのか、菊華なのか、判らなかった。 躯中が痛みに震え、熱を発していた。 それが、嬉しくて、知らず暗闇の中で笑みを浮かべていた。

『このまま時間が止まればいいのに。 一生、このまま一緒に居られたのなら。 良かった。 ご主人様の奴麗になって。 奴麗にして頂いて。 あぁ、眠りたくない。 朝までこの幸せを噛み締めていたい。』

 三宅に抱き締められ、風呂場で洗われ、ベッドに横たえられた。 心の底では望んでいても、裏切れると思って、これが怖くて期待などしなかった。 それが、今三宅と一つのベッドで眠ろうとしていた。 

「あっ。 良かった。」
 咲織は目覚めの朧の中、三宅を捜した。 闇の中、慌てて掌を伸ばした。 すぐに指先が三宅の体温に触れた。 歓びが指先から走る。 躯が震えた。 その震えを今も指先が肉と言う肉が覚えていた。 

 京浜東北線の中、咲織は一人にやけそうな貌を窓に映していた。 躯はまだ熱く火照り、そこら中が痛んだ。 その痛みが嬉しくて、引き締めた貌がまた崩れそうになる。 そして、寂しさが隙を衝いて顔を覗かせる。

 瞬く間だった。 長いと思った三日間はもう夜の帳と共に幕を下ろしていた。 咲織はほぉと溜息を零した。

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☆ その1923=蘇る歓び。 

『今の今まで会っていたのに。 まる三日も。 可愛がって貰えたのに。 もう、寂しい。 もう、求めている。 ご主人様の温もりを。 肌に触れるあの心強さを。』

 咲織は胸を掻き抱いていた。 却ってしんしんと心細さがハイヒールの足元から這い上ってくる感じがした。 じんじんと今も痛む柔肌が、その下の気怠い肉が、何より三宅を求めていた。 

『本当に? 本当に心が寂しいだけ? じゃあ、この肌の騒めきは? まさか、躯が求めている? あのときめきの時を? それとも?』

 咲織は一人、慌てて掌を躯から離した。 そして、その掌を持て余した。 仕方無く、キャリングケースのハンドルを両掌で握った。 

 夜の窓ガラスで何処か物憂げにやつれた女の顔が自分を見詰めていた。 その深い瞳が咲織にあの恍惚の時を思い出させる。 躯が熱くなった。 菊華がまるで何かを咥えてでもいる様にじわりとする。 柔肌を今は紫に染めているだろう鞭痕が疼いた。  

『欲しがっている? まさか? ううん。 認めなきゃ。 もう。 鞭の痛みを欲しがっているって。 あの痛みと同時に命が輝く瞬間を。 縄で縛められ、自由を奪われ、でも代わりにご主人様にこの躯の全てを抱き締められている様な歓びを。 そう。 咲織はマゾ。 マゾの奴麗。 ご主人様の。』

 不思議な事に初めて恋人同士の様に水族館で遊んだうきうきとしたそれでいて、気恥ずかしい様な、何処か現実とは思えない時間の事は思い起さなかった。 思い浮かぶのは三宅の掌の感触であり、鞭の痛みであり、縄の拘束だった。 

『お印。 一生、消えない烙印。 一生飼われる。』

「離れたくないです。 ずっとお傍に居たい。 ずっと・・・。」
 駅の雑踏を気にしながらも三宅の掌を握り締めていた。
「暫くは鞭の痛みが寂しさを紛らわしてくれるだろう。 おまえはマゾだからな。 そして、その痛みも消えたら、今度は一生消えない印しを、奴麗の烙印をこの躯に付けてやる。 そして、一生おまえは俺の奴麗だ。 例え逃げ出したいと思っても、逃げ出せない奴麗になる。 俺に身も心も玩ばれて生きるしかなくなる。 俺の家で一生飼われて。」
 三宅に耳元で囁かれ、咲織は躯が崩れるのを三宅にしがみついて辛うじて支えていた。 その三宅の言葉が頭の中でぐ今もるぐると渦を巻く。 胸は訳の判らない熱に浮かされ続けた。 

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☆ ゴールデンウィーク。

☆ 今日も読みに来て頂き、本当に本当にありがとうございます。

  今日はゴールデンウィーク。 と言う事で1日お休みを頂きます。 

  明日からは鋭意、執筆しますので、これに懲りずに明日も読みに来て頂けますようお願いします。


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☆ その1924=泣く柔肌。

『一生消えない奴麗の烙印?』
 三宅が最後に囁いた言葉が何時までも咲織の頭の中をぐるぐると回り続けた。 その怖ろしげで悲惨な筈の言葉を脳裏に浮かべる度に胸がきゅんと締め付けられる。 躯の芯が熱い蜜にじゅんと濡れる。 

『どんな烙印かしら。 刺青なんかじゃない筈。 きっとあの小説の主人公が、昔の家畜が押された様な印し。 焼き印? 怖い。 どんなにか痛いだろう。 主人公も気絶していた。 でも、でも、この胸がときめく。 躯が熱くなる。 ご主人様。 付けてください、一生消えない烙印。 咲織に。 咲織の躯に。 何処にでも。 そして、一生、あの家で奴麗として飼ってください。』
 まるで子供が遠足の日を思う様に咲織は烙印が押される日を想った。 ミニのニュアンススカートの下で、尻たぼに刻まれた鞭痕がじんじんと疼いた。 一体どれ程の鞭を受けただろう。 鞭に打たれ朱く腫れた柔肌を更に三宅の鞭は容赦なく咬み続けた。 その咬み痕が幾筋も今は赤い蚯蚓腫れとなって刻まれている筈だった。 その蚯蚓腫れがじんじんと疼く。 

『今も痛い。 立っているだけでもご主人様に打たれた鞭痕が痛い。 でもこれ程痛いのは精々明日まで。 今は腫れて赤々と肌に刻まれた蚯蚓腫れも、日が経つにつれて薄くなっていってしまう。 そして一週間もすれば、他の肌と見分けもつかなくなってしまう。 そして痛みも。』
 咲織はスカートの上から剥き出しの尻たぼを走る蚯蚓腫れに触れた。 指先にびりんと痛みが走る。 その痛みを愛おしそうに掌で包んだ。

『烙印を付けてください。 一生消えない烙印を。 そしてあの家で、一生奴麗として飼ってください。 二度と不安にならない様に。 二度と逃げ出そうと思わない様に。』

「おはようございます、副社長。」 
「おはよう、橋本さん。 今日も一段と可愛い・・、いや、綺麗だ。 なんか凄身さえ感じるね。」
「いえ、そんな。」
 宇野の爽やかな言葉にも咲織はさっと頬を熱くして俯く。

 朝、起き上がれない程に骨が軋んだ。 肉は気怠く、潤んでいた。 鞭痕が刻まれた肌はじんじんと熱を発して泣いていた。 三宅が恋しかった。 一度、三宅の温もりに包まれて目覚める歓びを知ってしまった肌が三宅を求めて泣いていた。 鞭の痛みさえ今は泣き出したい程に恋しかった。

 その婬らさが蜜となって滴り落ちる様な躯を無理やり起し、咲織は穏やかな日常に身を没しさせた。

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☆ その1925=痛みが連れてくるもの。

 幾ら三宅を忘れようとしても、躯が忘れさせてはくれなかった。 ちょっと躯を動かす度に肉が軋みを上げた。 特に来客を迎えた後に、宇野に呼ばれて座り直す度に数え切れない鞭を受けた尻たぼが悲鳴を上げる。 幾らにこやかな笑顔で取り繕っても、その下で三宅への思いがちろちろと燃え出した。

『次はいつですか。 次にご主人様にお会いできるのは。 今週末? 後五日もある。 ううん。 そんなに早くお会いできる訳が。 来週? それとももっと先。 期待しちゃいけない。 期待したら、叶わない時が辛すぎる。 まして、咲織は奴麗。 奴麗の身で、ご主人様に望んでは。 でも遠い。 遠いです、ご主人様。 今日にでも。 今すぐにでもお会いしたい。 あの胸に身を没したい。』

 尻たぼの上げる悲鳴が婬美な感悩を呼び覚ます。 肉に柔肌に三宅に抱かれた感覚が蘇る。 縄に革帯に自由を奪われ、鞭打たれ、熱蝋に焼かれる惨たらしい痛みがまざまざと浮び上がる。 その惨たらしい痛みを、屈辱的な奉仕を愛おしく想う自分を見つけては、咲織は胸を濡らした。 

『ご主人様、咲織は本当に奴麗になりました。 縄で縛められたいです。 息も出来ない程に。 息をする度に咎められ、苦しみを与えるご主人様の縄が、ご主人様の抱擁にも感じられる。 自由を全ての自由を奪われた躯を気が遠くなるまで鞭打たれたいです。 肌を咬み裂く鞭がこんなにも愛おしく、打たれる日がこんなにも待ち遠しいなんて。 本当に咲織はマゾ奴麗なんですね。 初めて恋をしたのがご主人様で良かった。 女にして貰えたのがご主人様で良かった。 咲織はご主人様の前で、自由になれる。 縄に縛められて自由になれる。 鞭で打たれて、羽ばたける。 高く。 高く。』

 何時の間にか肌の痛みが淫靡な感悩と結びついていた。 現の痛みが咲織を闇い幻想へと引き摺りこむ。 そして、痛みこそが現実だった。 会社に居る今が、一人秘書席で事務を執っている今が幻にさえも思えてくる。 

「お疲れ様。 お先に失礼。 橋本さんも早く帰ってください。 今日は特に急ぎの仕事も無いでしょう。」
 宇野の言葉に咲織は現実に引き戻された。 副社長室を片付けながら、窓を見た。 既に冬の夜は帳を寒々と下ろしていた。 

『まだ一日しか経っていないのに。 どうしてこんなに。 肌が求めてしまう。 馬鹿な女。 ご主人様はきっと咲織の事なんて想い浮べもしないで、まだお仕事をされているに決まっているのに。 そう、この同じビルの中で。』

 なんとなく、一人のマンションに帰りたくなかった。 三宅と同じ会社で、同じ空気を吸っていたかった。 その時だった。

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☆ その1926=動かない手脚。

「一人か。」
 突然、左手のドアが開かれ、三宅が顔を覗かせた。
「あっ、ご主人様。」
 椅子を倒しそうな程に咲織は飛び上がった。 駆け寄りたいのに、躯は強張り、脚が出なかった。

「一日中、縄と鞭を想って濡らしていたと言う顔だな。」
 後ろ手にドアの鍵を閉めながら、三宅は咲織の傍らに立った。
「そんな。 そんな事。」
 反論は弱々しかった。 しきりに紺色のタイトスカートを伸ばした。 その咲織の掌が三宅に打たれた鞭痕に触れた。 びりんと痛みが走る。 じわりと躯の芯が濡れた。

「いつも大幹部が近くに居るからと怖がられて秘書に手を出す奴は滅多にいない様だが、実際は煩い同僚の目も無い。 それに幹部が帰った後は秘書一人が個室に残される。 しかも幹部は出張も多いから勤務時間内でも秘書が一人と言う事は多い。 社内恋愛するなら相手は秘書に限るな。」
 三宅は何時に無く明るい笑みを浮かべていた。 その笑顔に咲織の緊張が溶けていく。 それでも、心臓はどくどくと大きく鉦を打ち、咲織は机に掌を突いてやっと躯を支えていた。
「そうは思わないか。」
 三宅は生真面目な顔で突っ立った咲織の傍らに来ていた。 三宅の息が咲織の前髪を擽る。 咲織は三宅を真っ直ぐに見たまま動けなかった。

「違うか。 おまえが秘書だから、抱きたくなった時に直ぐにこうして二人きりにもなれる。 ホテルで待ち合わせる手間を省いて、直ぐにな。」
「はいっ。」
 そう言うのがやっとだった。 『抱きたくなった』と言う三宅の言葉が嬉しくて、心臓がぎゅっと握り締められた様に痛む。 直ぐにでも掌を伸ばして三宅を抱き締めたいのに、怖くて、ただ震えた。 

「嬉し過ぎて、言葉もないか。」
 三宅の指が肩の巻き毛を掻き上げた。 裸になった項に三宅の吐息が掛る。 柔肌がぞわぞわと騒めく。 全身の血が下半身に、子宮に集まっていくのが判った。 

「違うのか。」
「嬉し過ぎて、言葉も無いです。」

「そうか。 一日中、縄と鞭を想って濡らしていたな。」
「そんな。 違います。 違います。 ご主人様を想って・・・。」

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☆ その1927=咲織はマゾ雌です。

「俺を想うと濡れるんだな。」
「違います。 ただ、ご主人様を想って・・・。」
 咲織は大きな瞳を朱く潤ませて、縋る様に三宅を見上げた。

「ただ想って? ようやくマゾ奴麗の自覚が出来たかと喜んでいたのに、未だに純真な乙女を演じたいのか。」
「違います。 本当にただただご主人様にお会いしたくて。」

「あんっ。」
 突然背後から抱き竦められ、咲織は嬉しい悲鳴を小さく上げた。
「あっ、駄目。」
 三宅の掌を防ぐ間も無かった。 スカートのスリットを捲られ、三宅の指に秘唇を弄られていた。 そろりと指先で秘唇の会わいを撫でられただけで、しゃがみ込んでしまいそうになる。 三宅の手首を掴む咲織の抗いも形だけにしかならなかった。

「俺を想って、縄と鞭の痛みを思い出して濡らしていたな。」
 観念した囚人の様に抗う力も無くした咲織の秘唇に三宅の指は好きな様に別け入った。 その奥に隠れた花びらを乱暴に刮ぐと、その指先を咲織の鼻先に突き付けた。 

「濡れ濡れじゃないか。 とても俺の顔を見てから濡らしたとは思えないぞ。 副社長の帰った事務室で一人、縄と鞭を思い出して濡らしていたな。 正直に言いなさい。」  
「あぅぅぅん。」
 三宅の言葉に咲織は頷くしかなかった。 消え入りそうに誰もいない壁に向って頷くと、がっくりと項を垂れた。 

「さ、言ってごらん。 神聖な事務室で縄と鞭を想ってお萬子を濡らしていましたと。 咲織は事務室でも責められるのを夢想してしまうマゾ雌ですと。」
 三宅の屈辱的な命令が咲織の耳朶を擽る。 それだけで感悩に躯が痺れて、何も考えられなくなる。 ただ自分の性癖を言い当てられた羞恥に三宅を想う心が血を流す。 

「咲織は縄と鞭を想って、お萬子を濡らしていました。 咲織は事務室でも責められるのを夢想してしまうマゾ雌です。」
 咲織は心から流れる血を絞る様に言葉を吐いた。 自分の言葉に羞恥が更に身を焦がす。 その痛みに耐える様に咲織は胸に回された三宅の腕をひしと掴んだ。

「ふふ、認めたか、婬濫なマゾ雌だと。 素直に白状したご褒美に犯してやろうか。 それともマゾには鞭の方がご褒美かな。」

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☆ その1928=最後? 

 三宅は意地悪く言った。 その声に何処か芝居がかった楽しげな調子があるのを知って、咲織はひと時羞恥を忘れて胸を潤わせた。 

『ここで? そ、それは。 あぁ、言えない。 本当は今にも求められたいのに、震える程。 でも、自分から犯してくださいとは言えない。 ご主人様には全てを見られているのに。 普通の女性なら一生誰にも見せない様な恥ずかしい姿まで。 それなのに、言えない。 ここでは。 私からは。 いっそ、いっそ。』

 背中が三宅を感じていた。 抱き竦められた腰が三宅に反応していた。 恥ずかしく哀しい言葉が喉にいがいがと刺さった。 咲織は躯を小さくして、微かに身悶えた。 

「あんっ。 あぁぁ。」
 三宅の指が秘唇をなぞった。 三宅の腕の中で、咲織の華奢な躯がくねった。  咲織は躯を三宅の胸に預けた。 小さな掌が三宅の腕をひしと掴む。 躯の芯がじゅんと潤む。 躯がその次を期待して疼き出す。 
 
 次の瞬間、三宅の指はスカートを出ていった。 さっと腕が腰を離れ、三宅は咲織の机の上に腰を掛けた。 動物園で檻の中の動物を見る様な顔で咲織を見ていた。

「ひどいっ。」
 咲織は小さく言って、唇を尖らせた。
「当たり前だ。 サディストのご主人様なんだから。 で、どっちだ? 犯されたいのか、鞭が欲しいのか。」
 余裕たっぷりの三宅を咲織は潤んだ瞳で睨んだ。 

「それは恋人の目だ。 奴麗の目じゃない。 まだ、調教が必要なのか。」
 がっかりだと言わんばかりに三宅は肩を落として見せた。
「でも・・・。 私は確かにご主人様の奴麗ですけど、でも、私はご主人様に恋をしているんです。 大好きなんです。」
 そこが職場だったからか、一日三宅の事を想っていたからか、咲織はいつに無くむらむらと哀しい反抗心が湧くのを禁じ得なかった。 唇を尖らせ、瞳を濡らして三宅を真正面に見詰めていた。 

「残念だな。 何度言わせれば気が済むんだ。 おまえは俺にとって、自由になるマゾ奴麗に過ぎない。 俺のあらゆる命令に従えばいい。 羞恥に身悶えればいい。 痛みに哀しみに泣けばいい。 大好きだろうが、俺に恋をしていようが関係が無い。 いや俺が大好きなら、俺を歓ばせる奴麗になれ。 本当に残念だ。 暫くおまえの秘唇は使えなくなるから、最後に使ってやろうと思って来たのに。」
 三宅は机を降り、くるりと背を向けてドアに向かった。

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☆ その1929=犯してください。

「待って。」
 咲織は三宅の背にしがみ付いていた。
「待ってください。 お願い。」
 三宅の背に顔を埋めた。 三宅の薫りが鼻腔に拡がる。 男の薫り。 仕事をしてきた薫り。 部下を使い、大きな仕事をしてきた男の自信と疲れが咲織の中に拡がった。 

「奴麗の役割を放棄した女が待てと?」
 三宅は冷ややかに振り返った。 手は咲織には触れたくないとでも言う様にまだドアノブに掛けたままだった。
「酷いです。 お顔を見せてくれて。 期待させて。 それで、突き放すなんて。酷すぎます。」
 咲織は幼子の様に三宅の胸を叩いた。

「突き放したのはおまえだぞ。 折角、可愛い奴麗になったと喜んでいたのに。」
 三宅はぴんと背筋を伸ばし、咲織を少し哀しい目付きで見下ろしていた。
「奴麗です。 咲織はご主人様の奴麗です。 どうか、どうか犯してください。 どうか、咲織を犯してください。」
 殆ど泣きじゃくっていた。 三宅のシャツが涙に濡れた。

「そうか。 こんな神聖な事務室で犯して欲しいと願う様な婬濫なんだな。 おまえは。」
 唇の端が嬉しそうに笑っていた。 その笑みが顔に拡がるのを咲織は見たかった。 今はまだ腰の後ろに隠れている三宅の掌が自分を包んでくれるのを夢見た。

「はい。 咲織はこんな場所でもご主人様に犯して貰いたいと思う様な婬濫な奴麗です。 だから、どうか咲織を犯してください。」
 咲織は朱く泣き腫らした瞳で三宅を見上げた。 三宅の目が優しくなった。 胸が熱く潤った。

「いい奴麗だ。 奴麗は婬濫で無くちゃ。 じゃあ、着ているものを脱ぎなさい。」
 咲織はスーツのジャケットに掌を掛けた。
「ここでは狭い。 奥の副社長室でだ。」
 三宅はがっしりとした顎をしゃくった。 

「副社長室で?」
 副社長室に向けて踵を返しながら、咲織の頼りなげな脚は震えた。 ドアを開けると、床までの窓に夜が降りていた。 下の方が街明かりで燃えている。 背徳の夜だった。 

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☆ 風邪。  

☆ 今日も読みに来て頂き、本当に本当にありがとうございます。
 
  今日は風邪のため、1日お休みさせて頂きます。 申し訳ございません。

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☆ その1930=全てを穢して。 

「この上に乗って、ストリップショーをして見せろ。 楽しませろよ。」
 三宅は副社長室の入り口で戸惑う咲織に、左手の低いテーブルを指差し、自分はその前のソファにゆったりと腰を下ろした。

「ここで?」
 咲織の声が怖れに震えた。 背徳の怖れだった。 いつも客を迎えるために綺麗にしているテーブル。 重要な商談が上手くいく様にと、副社長を前にして緊張している幹部を少しでもリラックスさせようと、笑顔と共にコーヒーをそっと置くテーブル。

 咲織にとって、その重厚な黒檀のテーブルは単なるテーブルでは無かった。 そのテーブルの上で裸になる事は、秘書としての自分を穢す気がした。 咲織に唯一残された穢れの無い場所、ついにそこまでも自分の手で穢す。 その背徳に咲織は震えた。 

『堕ちろと言われるんですね。 ご主人様のご命令一つで、何処までも穢れて見せろと。 咲織にはもう、清らかなふりをして居られる場所は無いんですね。』
 
「早くしないか。」
 三宅は火を付けた煙草の先を振った。
「はいっ。」
 咲織は黒のハイヒールを脱いだ。 テーブルが足裏に冷たかった。 ジャケットの袖から腕を抜く。 三宅が掌を伸ばし、受け取った。

 奥に熱を帯びた三宅の眼に追い立てられ、咲織は首までのフリルを掻き別けてブラウスのボタンに指を掛けた。 暖房が効いているのに、素肌を窓の外の冷気が弄っていく気がした。 鳥肌が立っていると思った。 そんな醜い肌をあからさまな光に曝す事が、三宅に見られる事が、恥ずかしく哀しかった。

『あぁ、こんな処で、咲織は裸になろうとしている。 なんて恥知らず。 ご主人様、見ないで。 お願い。 あぁ、見られてしまう。 全てを。 醜い処まで。』

 冷気が羞恥の炎を煽った。 燃え上がった羞恥が躯の内側から咲織を熱く火照らせる。 躯の芯が疼き出していた。 再び、欲しがり始めていた。 自分を見詰める三宅の熱い眼に肉が蕩け始めた。

 ブラウスを三宅に渡し、足元に落としたブラウスに合わせた淡いピンクのキャミソールから足を抜く。 

「ちゃんと可愛いブラも持ってるんじゃないか。 今日は下着を付ける許可を出しておいて正解だったか。 ブラの小花がおまえの白い肌に良く似合う。 まるで可憐な乙女みたいだ。 とても、婬濫極まりないマゾ奴麗には見えないな。」

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☆ その1931=愛しい咬み痕。

 三宅に揶揄されて、一層羞恥が燃え上がる。 咲織はかっと血が沸騰するのを感じた。

『あぁ。 抱かれたい。 ご主人様の胸に飛び込みたい。 その腕に包まれたい。 でも、咲織は奴麗。 ご主人様は咲織の恥ずかしいストリップショーを望んでいらっしゃる。 どんなに辛くてもやり遂げなくちゃ。 やり遂げたい。 ご主人様に良くやったと頭を撫でて貰えるように。』

 今すぐに三宅の腕の中に飛び込みたかった。 だが、それが許される恋人では無いと咲織の躯が知っていた。 三宅の命令が無ければ何も出来ない、そして命令一つでどんなに浅ましく婬らな事でもする奴麗に心の底まで染まってしまっている事を改めて知った。

『とことん、奴麗になった。 ううん、元々咲織は奴麗だったの。 あの母と同じ様に。 それをご主人様が引き出してくれただけ。 知らしめてくれただけ。 ご主人様が、ご主人様で本当に良かった。』 

 そして、恥ずかしければ恥ずかしい程に婬らに燃え上がる躯になってしまったと、いや、端からそう言う躯、血だったのだと胸の奥に哀しく飲み下した。 咲織の中のマゾの血が躯の中で渦巻いていた。 秘唇の奥がずんと疼いた。

「ふふ。 本当におまえは婬濫なマゾだ。 辱しめを受ければ受ける程、鞭を与えられる程にマゾの血が燃え上がるだろ。 躯がもう欲しくて堪らないと言っているぞ。 見る見る肌がピンクに染まっていっている。 さ、洗濯ばさみに咬まれ、注射針に感じた乳房を見せなさい。 どうせ、小さいながらもおまえの乳首はブラの下で痛い程しこっているんだろう。 婬らな想像におっ立った乳首をご覧くださいと言って、ゆっくりとブラを外しなさい。」
 三宅にあからさまに自分の性癖を言い立てられ、咲織は巻き毛の掛る項まで朱に染めた。 確かに小さめのブラの下で胸の蕾は硬くしこっていた。 それを自ら曝け出さなければならない奴麗の身の上に更に血が疼いた。

「咲織の婬らな想像におっ立った乳首をご覧ください。」
 喉から哀しい台詞を振り絞りながら、咲織はブラを外した。 窓の外の朱い街灯りが、自分の婬らな血の様に思えた。 その灯りは今にも闇い夜空を焦がさんばかりに揺らめいていた。

「ほお、何時見ても興奮を覚える見事な乳だ。 細っこい躯からたわわに食み出して。 固そうでいて、その奥から柔らかさが滲み出ている。 乳色の肌に転々と付いた赤蒼い洗濯ばさみの咬み痕が、もっと凌辱して欲しいと言ってる様だ。」
 三宅は眼を細めて紫煙を吐き出した。


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☆ その1932=パンツを渡しなさい。

『そ、そんな。 酷いです、ご主人様。 ご主人様が付けられた痕なのに。 でも、嬉しかった。 今朝、自分で咬み痕を確認して。 ご主人様に付けられた痕だと思うと愛しくて。 いつか消えるのが寂しくて。 あぁ、本当に咲織はマゾ。 ご主人様の言われることを否定なんてできない。 凌辱して欲しいと本当に思っているのだから。』

 咲織は柔らかな頬を街の灯りよりも朱く染め、テーブルの上で裸身をくねらせた。 三宅の視線に射られている胸を覆おうとした掌は、叱られるのが怖くて腰の辺りを彷徨う。

「胸を隠さなくなったのは誉めてやろう。 お前の躯は俺の物。 お前に俺から隠す権利は無いとよく和かってきたうだ。 ふん。 いい姿だ。 実にそそる。 女はこれから凌辱されようとする瞬間が一番美しく輝くのかも知れない。 落花狼藉の風情という奴か。 白のガーターベルトも清楚に見えてよく似合っている。 付けたままの方がそそる。 今日はパンツだけ脱ぎなさい。」
 三宅が話している間も、肌という肌が三宅の視線にちくちく刺されて、むずむずと泡立った。 柔肌で起きた感悩のさざ波は躯の内に打ち寄せながら集まり、大きな波となって女の芯に打ち寄せる。

 何もされていないのに声が喉を叩く。 咲織は喘ぎを飲み下し、三宅の命令に救われたようにパンツに指を掛けた。 足から引き抜くには、どうしても片脚を自ら上げ、三宅に全てを曝さなければいけない。 咲織の躯がテーブルの上で強張った。

「ぐずぐずと勿体をつけるじゃないか。 俺が我慢できなくなって押し倒す事でも期待しているのか。」
「いいえ。 そんな。」

「じゃあ、早くパンツを脱ぎなさい。」
「は、はい。」
 躯をくの字に屈めてパンツを下す。 すらりと伸びた脚を折り曲げてパンツから足を抜いていく。 少女の様に慎ましやかな秘唇が空気に触れた。 三宅に見えていると思うと羞恥と込み上げる感悩に気が遠くなる。 たおやかな裸身に美しい曲線を描かせて、咲織は無理やりパンツを足元から剥ぎ取った。

『あっ、濡れてる。 ご主人様にお会いした時から、咲織は疼いていた。 こんなにぐしょぐしょになるほど。 恥ずかしい。』

「渡しなさい。」
「えっ。 あっ、ダメです。」
  三宅の言葉に咲織は固まった。


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☆ その1933=ずっと濡らしていました。

 婬汁で汚れたパンツを自ら三宅に渡すのだけは、避けたかった。 叶わぬ事と覚悟してはいても、三宅には可憐な少女と思ってほしかった。 恋心の欠片でもいいから抱いてほしかった。 
 
咲織は既に羞恥に上気した頬を一層朱に染めて、無言のまま巻き毛を左右に振り立てた。 言葉を口にしたら、泣き出しそうだった。

「ダメ? ご主人様の命令に対してダメという言葉は無い、と何度言ったらいいんだ。 奴麗のお前に拒否権などない。 俺の命令には従うだけだったろう。 どうせ、婬汁でパンツを汚していたんだろう。 そんな事は端から判っている。 今更、清純派の振りをしようとしても無駄な事だ。 さっさと寄越しなさい。」
「はい。」
 三宅の怒気を含んだ声に、巻き毛に貌を隠したまま咲織はこくりと頷く。 パンツを握りしめた小さな手を三宅へと差し出した。 羞恥の絶望に血の気が引いた。 咲織は脚を折って、テーブルの上にへたり込んだ。

「ふふっ。 濡れているだろうとは思ったが、これ程とは。 絞らなくても滴る程にびしょびしょじゃないか。 これではパンツを穿く許可をだしていなかったら、人前に出られないほどスカートを濡らしていたな。 見ろ。 お前が汚したパンツだ。 これが、お前と言う婬濫奴麗の正体だ。」
 三宅は受け取ったパンツを咲織の眼前に広げて見せた。 白く薄い生地の中心は透けて見える程に濡れている。 咲織は思わず顔を背けた。  

「おまえのパンツはどうなっている? この口で言ってみろ。」
 三宅は片掌で咲織の頭をぐいと引き寄せ、その唇を摘まんだ。 

『そんなこと、言えない。 自分から言える訳が・・・。 でも、ご主人様は求められている、私が何処までも自ら堕ちる事を。 恥知らずの婬濫奴麗になる事を。 奴麗にしかなれないなら、生まれついてのマゾなら、ご主人様が望まれる通りの奴麗になりたい。 少なくとも、ご命令に絶対服従する奴麗でいたい。 麗子さんの様に誇って貰いたい。 でも、いつかきっと、ご主人様は堕ちた咲織を見捨てられる。 汚れた塵の様に。 それでも、その日まで。』 

「咲織の婬汁でびしょびしょになっています。」
 言葉を吐き出す喉が、胸が痛かった。 小さく折り畳んだ躯が震えていた。
「俺に会ってから、ずっと欲しくて濡らしていたんだな。」
「はい。 ご主人様のお顔を見てから、ずっと欲しくて濡らしていました。」
 咲織の哀しげなそれでいて、それだからこそ妖艶な貌を見て、三宅は笑った。

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☆ その1934=愛しい鞭。

「俺に会ってからか。 俺に会うまでは全く婬らな想像はしなかったんだな。」
 三宅の言葉に何も言えず、咲織は小さな肩を一層小さくして俯いた。

「したようだな。 仕事中にどんな婬らな想像をしていた?」
 三宅は蜻蛉の翅の様な咲織のパンツを弄んでいる。 
「ただ昨日までのお泊りの時間を思い出していただけです。」
 小さく、だがきっぱりと咲織は言った。

「数え切れないほど鞭打たれた事や、恥ずかしげも無く外でお漏らしした事なんかをか。」
「はい。」    
 三宅の言葉を聞きながらも、鞭打たれた時の、縛り上げられた時の、そして口を菊華を秘唇を使われた時の情景と言うより感覚そのものが躯の中で立ち昇った。 咲織はぶるりと裸身を震わせた。 声が出そうだった。 

「あの調教部屋のスクリーンに映っていたお前の痴態は全て残してある。 見たいだろう? あの時は感じ過ぎてて、お前がどんな責めを受けて、どれ程婬らで浅ましい姿を曝したか、よく見えていなかったろうから。 今度、データを送ってやろうか。」

『あんな恥ずかしい姿を残していらっしゃるなんて。 でも、嬉しい気もする。 この私を責めて頂いた記録なんだから。』

「欲しいです。 送ってください。」
 咲織は言いながら、奥から込み上げる感悩に細腰をくねらせる。

「判った。 送ってやる。 マンションで何度でも見ながらその躯を疼かせるがいい。 だが、俺の許可がない限りオナニーは禁止だからな。 お前の躯は俺の物なんだから。 お前が勝手に触れていいのは俺が快適に使える様にその躯を綺麗に保つ作業をする時だけだ。」

「はい。 何時でもご主人様に快適に使っていただける様にこの躯をいつも綺麗にします。」
 咲織には三宅から俺の物と言われる事が何よりも嬉かった。 この躯は三宅に使われるためだけにあるのだと思うと、躯の芯から熱いものがじゅんと沁み出す。 咲織は思わず胸を掻き抱いていた。

「奴麗がオナニーをしていいのはその婬らな姿を見せてご主人様を喜ばせる時だけだ。 そして、今がその時だ。 俺が思わずお前を押し倒したくなる程婬らなオナニーをして見せろ。」
 三宅の言葉に咲織は素直に頷き、正座していた脚を崩した。 

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☆ その1935=滴る婬蜜。

「あぁん。」
 テーブルに触れ、尻たぼが鞭の余韻に悲鳴を上げた。 今も赤黒く腫れているだろう蚯蚓腫れが命を得て蠢いてでもいる様に疼く。 咲織は折れそうな細腰をくねらせ、まるくつんと持ち上がった尻たぼをテーブルに押し付け、のの字を描いた。 

 テーブルに擦れられた柔肌がびりびりと痛む。 その痛みは三宅が与えたものだった。 愛しさとその奥に秘められた切ないまでの感悩が肉に拡がる。 咲織の躯は自分に刻まれた三宅の痕跡を求めるかの様に尻たぼをテーブルに押し付け、もぞもぞとくねり続けた。

 男なら誰でもぞくりと生唾を飲みそうなとろりと濡れた瞳で、三宅を見詰めた。 自らのたわわな乳房を魅せ付ける様にゆっくりと小さな掌で揉みながら、片掌で押す様に太腿を三宅に向って開いていった。 

 細いながらもむっちりと若さの詰まった白い艶肌は濡れた様に艶めき、その奥の秘唇へと男の視線を導く。 普段はほんのりと色が載っただけの秘唇も今は桃色を濃くして、婬蜜を塗り籠めて誘う様な色香を滲ませている。 

 細い指先を飾る桜貝がその秘唇を開き、桃色も鮮やかな花びらを三宅に見せた。 既に蜜に塗れた花びらは玩弄を求めてほよほよとそよいだ。 

「あぁぁぁっ。」
 咲織は細頸を仰け反らせ、紅い唇を宙に喘がせた。 細い指先にも隠れる小さな肉芽が薄いベールの下でしこっていた。
「顔をこっちに寄せなさい。」
 咲織はまだうっとりと婬夢に満たされた美貌を三宅の掌へ傾けた。 紅い唇をキスをねだる様につんと突き出す。

「役員室は防音されている筈だが、余りに大きな喘ぎを出しても困るだろう。 口を開きなさい。」
 虚ろな眼差しで言われる儘に咲織は唇を開いた。

「うんぐぐぅぅ。」
 その食べ物さえ入れるのも憚れる様な可憐な唇の中に三宅は咲織の婬汁で汚れたパンツを押し込んでいく。 喉の奥まで突っ込まれ、大きな瞳が苦し涙を零す。
 それでも咲織は三宅の指を迎え入れようと唇を開き、首を傾け続ける。 

『苦しいのに。 咲織の婬汁に汚れたパンツを咥えさせられるなんて屈辱を与えられているのに、何故か嬉しいんです。 躯が喜んでいます。 ご主人様。 咲織は本当に婬らなマゾ奴麗になりました。』

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☆ その1936=乳首を捻りなさい。

「どうだ? 自分の婬汁の味は? 自分の婬汁を飲まされる女は一体何人いるんだろうな。 美味いか?」
 三宅は侮蔑の色を籠めて言った。 
「うぐぅん。」
 咲織はいやいやと顔を左右に振る。 その瞳は媚びる様に潤んでいた。 細い首筋がひくひくと苦しがる。 鎖骨が啼いてでもいる様に引き攣った。 
「ふっ。 他の女のは饐えて、惚れていたとしても口にしたくは無いが、おまえの婬汁は何故か仄かに蜂蜜の薫りがする。 不思議な女だ。 意外といけるだろう。 吐き出さない様に縛ってやる。」
 三宅はハンカチで猿轡を噛ませた。 白いハンカチを噛む紅い唇が痛々しくも婀娜っぽく喘ぐ。 

「本当に縛めの似合う奴麗だ。 愛撫より玩弄、抱擁より責め苦を与えたくなる。 さ、オナニーを続けろ。 逝っても、いいぞ。 俺を奮い立たせろ。」
 三宅の命令を待っていたかの様に咲織の指が蠢き出す。 片掌で乳房をまさぐり、片掌が秘唇に遊ぶ。 

「あぐくぅ。」
 細い指先がゆっくりとそして熱っぽく秘芽をくにゅくにゅと嬲る。 時折、堪え切れないとばかりに喉を突く喘ぎはパンツの猿轡にくぐもり、雄の本能を震わせた。 

「あんっ。 ぐぐぅぅん。」
 躯を呑み込む感悩に上体を起していられず、咲織はテーブルに仰向けに倒れていった。 大きくM字に開いたストッキングに包まれた脚がぴくぴくと痙攣を走らせる。 白いガーターベルトに縁取られた秘部で桃色の花びらが涎を垂らす。 上向きに盛り上がった乳房が身悶える。

 三宅からは咲織の顔は見えない。 時折、胸の谷間で猿轡に責められた紅い唇が喘ぐのが覗くばかりだった。 それだけに眼の前のオブジェと化した女体が演じる嬌態は純粋に婬美だった。

 三宅は魂を奪われた様に咲織の艶姿に見入っていた。 長くなった灰が煙草の先からぽたりと咲織の太腿の上に落ちた。 

 秘芽を愛撫していた咲織の指が切なげに折れる。 何かに追い縋ろうとする様に、花びらを掻き別け、奥へと没した。 乳房を持ち上げ、華奢な背が苦しげに黒いテーブルの上で弧を描く。

「逝けないか。 逝けなくて苦しいか。 優しい愛撫では。 乳首を捻りなさい。 潰れるまで。」

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☆ その1937=使えなくなるもの。

「あ゛がぁぁぁぁんんん。」
 三宅の命令は自分の望みだった。 咲織は言われた通り、自らの乳首を捻った。 自分の大切な器官だと言う配慮の無い捻り方で。 背骨をびりびりと痛みが走る。 そして、瞳の前の三宅を想う気持ちを揺さぶる。 痛みは感悩を呼び起こし、すぐに一つに溶け合って見分けが付かなくなる。 三宅を想う気持ちが明滅した。 

「もっと。 もっと抓りなさい。 尻たぼもだ。 鞭痕を抓ってみろ。」
 三宅は知らず知らずの裡に体を乗り出していた。 咲織の内腿に秘唇に三宅の息が掛る。 咲織の柔肌を粘膜をざわざわと感悩が這い上った。
「あい。」
 猿轡の下で咲織は答え、秘芽を弄っていた指を尻たぼへと移した。 指が這っただけでも尻たぼが痛む。 愛しく、懐かしささえ感じる痛み。 生を、輝く生を咲織の躯は感じた。 

 細い指が尻たぼの丸みをなぞっていく。 むくりと盛り上がった蚯蚓腫れに触れた。 痛みがつんと尖る。 咲織は自らの指で蚯蚓腫れを捻った。 

「あがぁぁぁぁんんん。」
 猿轡を噛み締めた。 乳首を摘まんだまま、たわわに実った乳房を持ち上げる様に背中を仰け反らす。 三宅の眼の前の脚ががくがくと痙攣した。

「本当にマゾだな。 自ら与えた痛みで初めて逝くとは。」
三宅の声に咲織の躯が止まった。 テーブルの上の頭が左右に揺れた。

「まだ足りないと言いたい訳か。 貪欲だな。」
 三宅は立ち上がり、咲織の露わな裸身を見下ろした。 値踏みする様な冷たい眼の奥に熱い光が宿っている気がした。 

 瞳を閉じた。 暗闇の中、衣擦れの音が近い。 咲織の心臓が痛い程高鳴った。 肌がひりひりとしてくる。 躯の中心で粘膜が熱く熱く滾る。 喉が渇き、咲織はごくりと生唾を飲み下した。

「あっ。」
 三宅の腕を感じたと思う間もなく、躯が宙に浮き、ソファに横たえられていた。 
「ご主人様。」
 瞳の前に三宅の顔があった。 咲織は掌を伸ばし、その頭を掻き抱いた。 胸が三宅の体温を吸い込んだ。 咲織の中で二つの体温が混ざり合う。 肉が三宅に寄り添っていった。
  
「暫く使えなくなるからな。 今日はおまえの萬子をちゃんと味わってやろう。」

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☆ その1938=感悩の波間。 

『暫く使えなくなる? どう言う事ですか? 何処か遠くに出張されると言う事? それとも、前に言ってらしたように咲織の口と菊華だけを使われると言う事? それとも?』

 そこまでだった。 漠とした不安も思考と言える程でも無い心の動きも、猿轡を取られ唇を三宅の唇に塞がれた瞬間、霧となっていた。 熱い思いだけを霧が胸いっぱいに満ちていく。 息が苦しい。 

「ご主人様。」
 息苦しさの中で、感悩の輝きが明滅した。 

「濡れ濡れでも、まだ狭いな。」
「ご主人様。」
 三宅がゆっくりと入ってくる。 満たされていく。 こんなにも自分は空っぽだったのかと思う程に、三宅の熱が咲織の虚ろを埋めていく。

「ご主人様。」
 咲織の白く細い腕が三宅の三宅の浅黒い背に絡み付く。 しなやかな脚が離さまいと三宅の腰を抱き、ぎゅっと締め付けた。
「あぁぁぁぁっ。」
 三宅が腰を引く。 魂が引き抜かれる様な切なさが声になる。 その切なさは三宅が再び奥へと入ってくると、歓喜に変わる。 

 切なさと歓喜が交互に打ち寄せる。 打ち寄せながら波は畝り、少しまた少しと高まってくる。 その波はやがて咲織を飲み込む程に高くなっていく。 

「あぁぁぁぁっ。 や、やめて。 お願い。 あぁぁぁぁぁっ。」
 余りにも高い波を前に本能が怖れた。 咲織は三宅の胸に当てた腕を精一杯に突っ張り、引き離そうとした。 巻き毛を振り立てて、いやいやと首を振る。 

「逝け。 感じなさい。」
 三宅は咲織の華奢な躯が折れる程に抱き締めた。 腰をぱんぱんと咲織に叩き付ける。 

「あぁぁぁぁ。 あぁぁぁぁぁんん。」
 咲織の華奢な躯が三宅を乗せて弓反った。 三宅を包んだ粘膜の鞘がうねうねとくねり、のたうつ。 

「あぁぁぁぁ。」
 艶やかな啼き声が堪えても堪えても漏れる。 幾度も幾度も真っ白な閃光が頭の中で煌めいた。 感悩の波が咲織を呑み込み、彼岸へと連れ去っていった。

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☆ その1939=聖なる物。

 三宅が腰を打ち付けてくる度に鞭打たれた尻たぼが痛む。 その痛みは三宅に愛されている証し、躯に刻まれる愛の印しだった。 痛みが増す程に、感悩の波が高まる。

「いい。 おまえはやはり最高の女だ。 もっと締めろ。 もっと啼け。 もっと感じろ。」
 三宅が込み上げる昂まりのままに掌の下の乳房を掴み、捏ね繰り回し、小さくしこった桃色の乳首を吸った。 苦しさと痛みが螺旋を描いて咲織の肉を抉る。 その荒ぶる苦悶さえ今の咲織には愛の賛歌だった。 

 何処までも感悩の畝りは昂まり、咲織を高みへと押し上げていく。 怖さすら感じなかった。 三宅の肌が体温が常に咲織を抱き締めていた。 三宅を持ち上げる程に背を反らし、細い喉を突き上げて咲織は声を上げずに啼いた。 躯全体で精一杯に啼いた。
   
 三宅が入ってくる。 咲織は波濤に持ち上げられる。 三宅が引く。 波に打ちつけられ、躯がばらばらになるかと思う程に砕け散る。 波は次々に咲織を襲った。 その感覚が見る間に短くなっていく。 ついには、間断なく咲織の全ての感覚が高く高く舞い上がる。

「あぁぁぁぁんんんん。」
 押し殺しても押し殺しても、啼き声が喉を突き破った。 何処までも昂る感悩の儘に咲織は全ての力を開放して三宅を抱き締める。 幾度も幾度も閃光が瞬いた。 華奢な躯はばらばらに砕け散るかと思う程に痙攣し続けた。

「うっ。」
 三宅の体も硬直する。 骨が砕けるかと思う抱擁に咲織の躯は歓喜に包まれた。 自分でも判る程に粘膜の鞘が螺旋を描いて三宅の物を締め上げていた。 三宅の精が子宮を撃った。 咲織は三宅を跳ね上げ、ぐったりと弛緩した。

「清めなさい。」 
 ソファに可憐な肢体を伸ばして、咲織はまだ夢の波間に揺れていた。 三宅は咲織を仁王立ちに見下ろしていた。 突き出された黒い凶器はまだ隆々と天を突き、咲織の婬蜜にぬらぬらと光っている。
「はい。」
 無垢な天使の笑顔を見せて、咲織は細い腕を伸ばす。 三宅の腰をその腕にい抱くと、顔を持ち上げ花の唇を爛漫と綻ばせた。 それがまるで聖なる物でもあるかの様に紅い唇を押し当て、自らの婬蜜を桃色の舌で舐め取っていった。

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☆ その1940=改造。 

「嬉しそうだな。」
「はい。 ご主人様の大切な物を私に委ねて貰えるのが嬉しいんです。」
 咲織は黒目勝ちの大きな瞳だけを上に向けて返事をすると、すぐにまた三宅の物を自らの唇でいそいそと清め始める。

「そんなにそれが好きか。」
「はい。 ご主人様の大切な物ですから。」

「違うだろ。 感じさせてくれるから、逝かせてくれるからだろ。」
「もちろん、それも。」
 咲織の白い頬が薔薇色に染まる。 華奢なワイングラスのステムを持つ様に繊細指で三宅の物を捧げ持ち、紅い唇を這わせていく。 ちろちろと桃色の舌が三宅の静脈も浮き出た硬直を舐めていく。 三宅の物が再び隆々と脈打った。

「まだ逝き足らないか。 何処までも強欲な婬濫だな。」
「違います。 ご主人様にこうして触れられている時間が幸せなんです。」

「触れられていればいいのか。」
「はい。」
 咲織はにこやかに頷いた。 片時も三宅の物から指を離そうとはしない。

「じゃあ、暫くお萬子が使えなくなってもいいな。」
「えっ?」

「触れられればいいんだろ。」
「はい。 触れさせて頂けるなら、咲織は幸せです。」

「お前の躯は俺の物だったな。」
「はい。 ご主人様の物です。」

「それじゃあ、どう扱ってもいいな。」
「はい。 どう扱って頂いても構いません。」

「それを聞いて安心した。 今週末、飯田の処へ行きなさい。」
 三宅の言葉に咲織は凍り付いた。 諦めの哀しさの中にも一縷の望みに縋る瞳で三宅を見上げる。    

「ちょっとした手術をして貰う。 お前が今以上に敏感になり、今以上に楽しめる奴麗にするための手術だ。 術後、お前がどう反応するか楽しみだ。」
「手術? 手術を受けに行けばいいんですね。」

「そうだ。 だが、前に一晩お前を貸す約束をしただろう。 それが手術代だ。 俺に恥を掻かせるな。 貸し出した以上は一晩飯田がお前のご主人様だ。 あいつを俺だと思って、一晩楽しませなさい。 この躯で。」
 三宅は咲織の乳房をぽんと叩き上げた。

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☆ その1941=堕ちていく。何処までも。

 ばたりと戸を閉めて副社長室を出ていく三宅を咲織は茫然と見送った。 その背中に縋る事すら出来なかった。  

 三宅の消えた副社長室は深海の底の様に冷ややかで暗かった。 窓の外を明るく照らす街の灯は遥に遠い海上のものの様に思えた。 自分が浮び上がる事など到底できない光の満ちた世界。 それは今の咲織には余りにも遠かった。 見えはするけど、永遠に自分を照らす事の無い光。 咲織は確かに深海の底に沈んでいた。

 何も考えが浮ばなかった。 感情も無くしたようだった。 涙すら出なかった。 自分がただの袋になってしまった様に感じた。 空っぽの女の形をした袋。 

 落ちた視線の先にガーターベルトが映って、咲織はまだ裸でいた事にようやく気が付いた。 虚ろな躯に無理やり服を着せる。 ソファに、テーブルに付いた自分の婬蜜を拭き取った。 三宅に与えられた歓びが躯に蘇る。 その躯の反応に澱の様な哀しみが心の底に降り積もっていく。 その澱は躯を動かしても消えること無く、降り積もり続ける。 息すら出来ない程に咲織の心は沈んでいった。

『週末、飯田さんに貸し出される。 奴麗として。 物そのものの扱いで。 性の道具として。 最初から、最初からご主人様は完全な所有物だから人に貸し出させるのだと。 判っていたこと。 これまでだって知らない人に侵された。 縛められ、吊られ、鞭打たれ、侵された。 秘唇だけじゃなく、口も、菊華までも。 でも、いつも傍にご主人様がいてくれた。 見ていてくれた。 勝山さんに侵された時でも、ご主人様から引き渡された。 夜にはご主人様の掌で・・・。 それが、今回はご主人様はいない。 私が鞭打たれ、痛みに悲鳴を上げても、幾らこの身を悶えさせてもそれを見て楽しんでくれるご主人様はいない。 何のために飯田さんに侵されるの? 鞭打たれるの? きっと、飯田さんはこの私に本当に壊れる程の酷い責めを与えられる。 きっと、私は身も世もなく啼き叫び、身悶える。 許しを乞うかも知れない。 無様な姿を見せてしまう。 ご主人様に楽しんでも貰えないのに。 何ために? それは私が奴麗だから。 どんな命令にでも従う奴麗だと確かめるために? ご主人様が自慢するために? だとしたら、まだいいのだけど・・・。 怖いです。 それに何より辛いです。 嫌です。 やっぱり嫌です。 この肌をご主人様以外の人に曝すのは、触れられるのは。 虫酸が走ります。 でも、拒否できない。 きっと、私は金曜の夜には飯田さんの処へ行ってしまう。 弄ばれるために。 この躯を捧げるために。 貸し出された奴麗として。』

 自分のマンションにどうやって辿り着いたのか、どうして今父のソファで横たわっているのかさえも記憶に無かった。 頭の中を哀しい思いだけがぐるぐると廻り続ける。 胸が塞がる思いは螺旋を描いて、何処までも何処までも堕ちていく。 果ての無い深海の泥沼の中へと。

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☆ 1942=消えないで。

 心が堕ちていくに従って、肌に肉に、他人に抱かれた時の、鞭打たれた時の感覚が蘇った。 咲織は既にその哀しい痛みを、自分の躯の怖さを知っていた。 その果てに真っ黒な深海の底で逝った事を。 他人の掌を、躯を、鞭を知っている事が何よりも辛かった。 咲織は怖気を振るった。 

 掌を今もずきずきと痛みを発している尻たぼへと伸ばした。 掌が触れると、尻たぼはまだ打たれた直後の痛みを知らせてきた。 その鋭い痛みに咲織は独り小さく声を上げた。 

『ご主人様に付けて頂いた痛み。 付けて頂いた鞭痕。 消えないで。』
 
 シャワーを浴びながら、咲織は鞭痕を確かめていた。 懐かしそうに、愛おしそうに。 
自分の指に触れられて、シャワーに当たって発する痛みが何よりも嬉しかった。 

 一糸纏わずワードローブの大きな鏡に自分の裸身を映した。 風呂上がりの桜色に上気した小さくも丸い尻たぼを今は青黒く変色した蚯蚓腫れが幾筋も汚していた。 前を向けばノーブラでも上を向いた乳房やわき腹の所々に洗濯ばさみの咬み痕が浮かんでいる。

『いつまで残っていてくれるかしら。 いつまでご主人様の責めを愛撫をこの肌は記憶していてくれるの。 どうか、飯田さんに責められた後も残っていて欲しい。 あぁ、ご主人様の言われた永遠に消えない刻印をこの躯に印されたい。 刻印があれば、何時でも咲織はご主人様の奴麗だとこの瞳で確認できるのに。』

咲織には醜い鞭痕が、洗濯ばさみの咬み痕が、とても美しいものにさえ思えた。 自分の貧弱でいて胸だけ大きい歪な躯を美しく飾る化粧。 頼りない夜に、そっと手を差し伸べてくれる存在。 咲織は鞭痕の一つ一つをなぞった。 三宅を感じた。 三宅の強さを逞しさを、鞭痕に感じた。 

 鞭痕を瞳にし、鞭痕に触れ、痛みを確認する。 その時だけは、咲織は安らぎを感じられた。 この先に待つ過酷な命令を、惨い時間を、忘れられた。 

 そして、怯えた。 三宅の付けた鞭痕が消える事を。 肌から三宅の痕跡が消える事を。 自分が誰の物でも無い、ただの奴麗になる時を。 誰にでも従う性の奴麗になる時を。

 楽しみが歓びが先にあれば時は、焦れったい程にその歩みを遅くする。 そして、ようやくやってきたその時は悲しい程速く飛び退る。 だが、来るなと願う時は、哀しい程にその歩みは早く、そしてその時は永遠と思える程に長い。 

 日に日に鞭痕は、痛みは薄くなっていった。 心細さが、恐れが、日に日に高まった。 どれ程仕事に没頭しようにも、常に頭の中に何処までも闇い恐れを追い払うことは出来なかった。 

 そして、その時はやってきてしまった。

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☆ その1943=この身を捧げる奴麗。

 宇野副社長を夜の会合に送り出して、席に戻った咲織を待っていたのは三宅からの冷酷なメールだった。 残酷な刑の執行を告げるメールだと判っていても、咲織の心は一瞬の期待に華やいだ。 

『仕事が終わったら、真っ直ぐに飯田の家に行きなさい。 判っているだろうが、お客様として行く訳では無い。 奴麗として行くのだ。 一晩、あいつの性の奴麗になるために。 あいつを俺だと思いなさい。 俺だと思って、あいつの全ての命令に必ず復唱して自ら従い、あいつがお前にするどんな行為も自ら口に出して進んで受け入れなさい。 俺に恥を掻かせるなよ。 あいつがお前の事を素晴らしい奴麗だと歯軋りして羨む様に務めなさい。 さすが俺の奴麗だと誇れる事を楽しみにしている。 そして、改造されたおまえをいの一番に試すのを楽しみにしている。』 

 ディスプレーの文字が滲んだ。 文字は瞳の中を通り過ぎるだけで、心は読もうとはしなかつた。 それでも、『楽しみにしている』と言う最後の言葉に縋りつき、添付されていた地図を打ち出した。 飯田の家は三宅の家にほど近かった。 その事が、咲織の心を一層引き裂いた。 嗚咽を飲み下した胸が痛いほどに焼けた。  

『近い。 ご主人様の家のすぐ傍。 すぐの処にご主人様がいらっしゃる。 なのに、私を抱いてはくれない。 打ってはくれない。 私で、私の躯で楽しんでは貰えない。 行きたくない、ご主人様のいない処になんて。 ご主人様以外の人の奴麗になりになんて。 でも、ご主人様はもう飯田さんに私を奴麗にしていいと約束されてしまっている。 ご主人様を嘘つきには出来ない。 ご主人様に恥は掻かせられない。 ご主人様の奴麗の私が、ご主人様に恥を掻かせられはしない。 咲織はご主人様の奴麗なのだから。 心を無にしよう。 何も考えない、何も感じない。 ただ、ご主人様の奴麗として、ご主人様の奴麗だから、飯田さんに従おう。 それがどんな事でも。 ご主人様は私を棄てられたんじゃないんだから。 私を、改造した私を楽しみにしていると言ってくださっているのだから。 その時まで、心を無にするの。 ただの奴麗と言う入れ物になるの。 人形になるの。』

 不思議な事に、奴麗として飯田に仕えた後で自らの躯に加えられる改造が何なのか、全く考えもしなかった。 それどころか、嬉しささえ覚えた。 それは三宅が自分に望んだことだったから。 自分をより好みの奴麗にするために。 三宅に好まれる事ならどんな事でも受け入れられた。 自らその身を捧げられた。 赤の他人にその身を捧げること以外なら。

 本当に自分の躯では無い様な気がした。 自分の知っている世界では無い様な気がした。 ガチャリと事務室のドアに鍵を掛けて、一歩廊下へと、飯田の奴麗になるために一歩踏み出した途端、咲織は実感を失った。 歩いていると言う実感も、生きていると言う実感さえも。

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☆ いよいよ最終章。 

☆ 今日も読みに来て頂き、本当に本当にありがとうございます。
 
  明日から、この長い長い咲織と三宅の愛の物語も最終章となります。

  と言うことで、今日は構想のためお休みを頂きます。

  明日からの一段と過激で驚愕の最終章をお楽しみください。 


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☆ その1944=立ち尽くして。

『私はご主人様の奴麗。 ご主人様に恥を掻かせてはいけない。 それだけは。  奴麗がご主人様に恥ずかしい思いさせてはいけない。 奴麗である以上は。 捨てられるその時までは奴麗なんだから。 私なんかどうなってもいい。 私なんか。』

 どれほど逃げ出したかったろう。 常に踵を返して、マンションに駆け込みたかった。 そう想う度に、咲織は『俺に恥を掻かせるな』と言う言葉を思い出し、辛うじてドア脇のバーにしがみ付いていた。

 大森に到着した事を告げるアナウンスに心臓が止まりそうになる。 咲織はふらふらと夢遊病者の様に脚を動かした。    

『このまま、探しても探しても飯田さんの家が見つからなければいいのに。 そうすれば、ご主人様にも言い訳が出来るのに。』

「あっ。」
 何処をどう歩いたかさえ、覚えていなかった。 気が付くと「飯田美容クリニック」と言うサインボードが眩しい程の光を道路に投げていた。 

『来てしまった。 自分の脚で。 縛られて、全ての自由を奪われて、仕方無く見ず知らずの人に恥ずかしい姿を曝すのではなく。 私の脚で、私の意思で、奴麗になりに、愛する人では無い人に身を任せるためにここへ来てしまった。 幾らご主人様のご命令だとは言え、逃げられたのに。 逃げられた? 逃げたら、きっとご主人様は咲織を捨てられる。 それでも、咲織に逃げることが出来た? 出来たのですね。 奴麗はもう嫌って言えば言い。 それだけ。 でも、咲織はここに来ました。 自分の脚で。 自分の意思で。 言い訳はもう出来ない。 自分にも。 ご主人様にも。 咲織は心の底から奴麗。 そう言う女。 母と同じ血が流れる婬らなマゾ。』

 何度も、何度も自分に言い聞かせた。 それでも、ドアの前へと足を運ぶ勇気が出ず、咲織は道路に立ち尽くしていた。 

「当クリニックにご用ですか。 受付は先程終了させて頂きましたが。」
 ナース姿では無いさっぱりしたスーツの女性が咲織に声を掛けてきた。
「あっ、いえ。 飯田さんにお会いするお約束が・・・。」
 咲織は思考とも言えない逡巡を突然断ち切られた。 

「院長とお約束? もしかして、橋本様ですか?」
「はい。」
「院長がお待ちかねです。 どうぞこちらへ。」

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☆ その1945=込み上げる不安。

 仕方無く咲織は事務員についてビルに入った。 内心、ほっとしていたのも事実だった。 ビルから灯りが消え、人が出てくるまで冬空の底に佇んでいたかも知れなかった。 咲織は初めて寒さを感じた様に黒いコートの襟元を合わせていた。

 ドアを通るとまるで高級ホテルのラウンジを小さくした様なロビーに出た。 大きく開かれた窓と白が解放感と清潔感を演出し、要所を締める腰板と家具のモカが高級感を持たせていた。 所々にさりげなく金色が使われている。 高いがそれだけに安心できるクリニックと言う注文にインテリアデザイナーは完璧な仕事で答えていた。  

 事務員は一流秘書の所作で咲織を奥のエレベーターへと導いた。 お陰で咲織は少しだけ、これからその身に起こる悲劇に足を止めずにいられた。 エレベータは小さいながらも全面にオーク材を使って、院長は趣味がいいのだと言わんばかりに落ち付いた雰囲気を見せていた。

「こちらで院長がお待ちです。」
 院長室と書かれた厚い木のドアを事務員がノックした。 
「やあ。 相変わらずお美しい。 お待ちしてました。 どうぞ。」
 飯田が品のいい笑顔を載せて自ら出てきた。 促される儘に咲織は室内に足を踏み出した。 

「どうぞ。 そこのソファに掛けてください。 あっ、コートをお預かりしますよ。 この部屋では暑いでしょう。」
 飯田は事務員に帰る様に言うと、ドアを閉めた。 鍵を掛ける音が咲織の耳を打った。 
心臓が喉から出そうだった。 気取られまいと硬くした躯から飯田が手慣れた所作でコートを剥ぎ取っていた。 三宅とは違う男の臭いに怯えた。 血の気が引いていく。   

「そんな硬くならないで、知らない同士ではないでしょうに。 さ、座っててください。寒かったでしょ。 暖かいコーヒーはいかがですか。」
 返事をする前に飯田は部屋の右隅に設えられたバーカウンターへと遠ざかった。 緊張の糸が切れた様に、咲織はふらふらと座り心地の良さそうな白い革張りの大ぶりなソファに座りこんでいた。 

 咲織は大きく息を継いだ。 少しは落ち着こうとして部屋をゆっくりと見回した。 院長室ではあっても寛ぐべき私室では無く、客を招くための部屋に思えた。 ロビーと同じく招かれた客に安心感と清潔感を与えながらも、同時に客に自分は特別なのだと奢らせるだけの豪華さが加えられていた。 壁紙はウィリアム・モリスだろうか、白を背景に淡いがはしゃぎ過ぎない赤花模様が効いていた。 ローズウッドの作り付けの本棚がそれを引き締め、そして高級感と品の良さを伝える緑も濃い有名画家の日本画が壁を飾っていた。 それらが全て今の咲織には余所余所しく、一層不安と怖れを掻きたてた。


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☆ その1946=狩人。

「まだ落ち着きませんか。」
 飯田はすっと咲織の前に腰かけ、テーブルに置いた珈琲を勧めた。 咲織は何か言おうとして果たせず、ただ黙って珈琲カップを手にした。 珈琲の香りにも心はぞわぞわと尖ったさざ波を立てたままだった。 ふと、鳥肌を立てて無いかと手を見た。

「暫くお会いしない裡に、大人になられた感じですね。 こういう商売をしているから、女性の顔には敏感なんです。 初めてお会いした時にはお人形の様な可愛らしさだけが目立っていたのが、今はゾクっとする様な研ぎ澄まされた女の色香が際立ってきていてる。 商売柄、女性を前にするのは一樹なんかより遥かに慣れている筈なのに、今、咲織さんを前にして本当にどきまぎしてますよ。 どうしていいか判らない。 こんな感覚は初めてだ。 いや、20年ぶりかな。」
 飯田は口に持っていった珈琲を飲むのも忘れたかのようにそのままテーブルに戻して、子供っぽく笑った。 

「20年前?」
 沈黙が苦しくて、咲織は飯田の話に縋った。
「ええ、まだ僕も一樹も高校生だった頃です。 通学電車で良く顔を見た女子大生がやはり咲織さんの様な雰囲気を持っていた。 清楚で愛らしく、近づくのもためらわれる様な美しさだった。 それでいて心を持っていかれる様な色気を発していた。 大人だった。 僕なんかただ見ているしか出来無かったですけどね。 ずっと忘れていたのに、今思い出しました。 間違いなく大人になった咲織さんを見ていて。 僕が心を奪われたのを見て、一樹はふんと鼻で嗤っていたが、本当は一樹も一瞥で心を鷲掴みにされていたと思いますよ。 一度満員電車でその人とくっつきそうになって、一樹の奴かちこちになってましたからね。」
 遠い眼で昔話をしながら飯田の雰囲気が和らいだ。 咲織はようやく珈琲を口にした。 

「ご主人様の初恋の人ですか?」
 遠い昔の人とは言え、嫉妬がちくりと咲織の胸を刺していた。
「いや、あいつは否定するだろうな。 だけど間違いなくあいつも惚れてたと思いますよ。 僕が幾ら彼女の話をしても、頑なに乗って来なかったから。」

「本当に興味が無かったんじゃないですか。」
「それは無いですね。 他の女の子についてなら乗ってきたんですよ。 幾ら恰好付けてても、僕と一緒に批評し合っていたから。 青臭い時代ですからね、変に格好つけたがるんです。 好きだと自分でも認めたくないところがあったりする。 男って可愛いですよ。 本当に好きな子の前ではまるで案山子になってしまう。 僕も今、咲織さんと二人きりで、どうしていいか判らなくなっている。」
 飯田ははにかんだ表情を見せた。 それに釣られて、咲織は初めて微かに笑みを浮かべた。 

「初めて笑ってくれましたね。 ほんとに愛らしい笑顔だ。 ずっとその笑顔を見ていたくなります。」
 飯田の言葉に咲織はほんのり頬を染めた。 凍て付いていた躯がふわりと和らいだ。

「でもね。」
 飯田は珈琲を啜ると、ぎくりとする残忍な狩人の貌を見せて言葉を継いだ。

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☆ その1947=初恋の人。

「残念でしたね。 僕も一樹と同じで根っからのサディストなんです。 あなたの天使の様な愛らしい笑顔は本当に魅力的で、いつまでも見ていたいとは僕でも思う。 ですがやはり、それ以上に苦悶の中で見せる女の顔が見たい。 泣いて、泣いて、泣き抜いて、許しを乞い、堕ちる処まで堕ちて初めて見せる女そのものの顔が見たい。 それ以上に美しければ美しい程、この手で穢したくなる。 穢れ果てても、咲織さんは美しいでしょう。 いや、全ての仮面を脱ぎ捨てて、研ぎ澄まされた美を見せてくれる筈です。 その美そのものを僕はこの手にしたいんです。」
 ぎらりと欲望をその眼の奥に光らせて、飯田は咲織を睨め回した。 その蛇に似た眼に咲織はソファの中で小さくなった躯を震わせた。 

『やはり。 やはり、逃れようが無いんですね。 咲織はご主人様に貸し出された奴麗。 啼くために生かされている女。 それでも、ご主人様の青春時代の事が少しは知れて良かった。 どんな人なんだろう。 ご主人様の初恋の人は。 きっと、私と違って清らかで汚れを知らない人。 勝てない。』

 咲織はこの期に及んでも三宅の事を思える事に少し安心をした。 そして、頭の中にいてくれる三宅に感謝した。 

「どんな方だったんですか、そのご主人様の初恋の人は?」
 咲織は少し寂しげな貌を飯田に見せていた。
「今、僕は一樹から貰った権利を、あなたを一晩奴麗として借り受けた権利を徹底的に行使させて貰うと言っているんですよ。 それなのに、あなたはこれから自分の身に降りかかる事より、一樹の初恋話で頭がいっぱい・・・。 つくづく・・・。」
 飯田は珈琲を一口啜った。 

「いいでしょう。 あなたがすっきりするまで付き合いましょう。 大した話などないが。彼女は僕の初恋の人でもあるんですけどね。 とても綺麗な人でした。 本当に咲織さんに似て、凛として美しく、それでいて可憐で。 穢れる事なんて絶対にないと思えた。 そのくらい眩しく輝いて見えた。 そして、大人だった。 今考えれば大学に入ったばかりの小娘に過ぎなかったのに。 そうか、丁度今の咲織さんと同じ年だったんですね、彼女は。 こんなに幼気無くて、本当なら男に守られるべき年だったんだ。 あははは。 でもあの時の僕らからは眩しい程大人に思えた。 そう、一度だけ、声を掛けてみたことがあるんですよ。 勇気を振り絞って。 それはそれは綺麗な管楽器の様な声だった。 その声を聴いたらますます緊張してしまって、とても誘えたものじゃなかったですが。 確か、芸大の音楽科でフルートを勉強しているとだけ聞けたかな。」
「フルートを・・・。 なんて、なんてお名前の方だったんですか。 ご主人様もその人に声を掛けられたんですか。」
 何時になく咲織は身を乗り出して聞いていた。

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