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『アンドロメダな朝』美少女とご主人様の愛の物語・毎日過激に更新中 

【絶対R18】愛故に奴隷になった美少女と愛する者を責め苛まずにはいられない男の愛の行方は。

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☆ その11=ボタンの奇蹟。

 咲織は、顔が火照り朱らむのを感じた。 三宅に対するそれまでの想いの全てが知られる気がして気恥ずかしかった。彼にはさも簡単に見つけたように電話したが、真実は必死になって探していた。一個のボタンが想い焦がれる彼とのか細い蜘蛛の縷の様に思われた。 

『もしも、ボタンが見つかったら、彼と結ばれる。だから、だからきっと見つけだせる。』

 咲織は、大きな社屋の何処かにあるボタンを見つけだせると言う僥倖を、不思議なことに確信していた。だから、一時間でも二時間でも砂浜の中に宝石を探す徒労の時間を、却って楽しむことができた。

 咲織の勤める本社社屋は、下層階がショッピングセンターになっている。 昼間は眩いばかりの光に包まれたそこも、咲織がボタンを探す旅の終わりに立ち寄ったときには、非常灯が薄く灯るだけの深とした幽玄な空間に変化していた。 咲織は、彼のボタンを想い、生来恐がりな筈なのに、躯を包む薄い闇を味方につけていた。グランドフロアとセカンドフロアを繋ぐエスカレータの段が次々に吸い込まれては消えていく櫛歯の隙間で、それは踊っているように見えた。 奇跡に違いなかった。 昼間何万という人がここを通る。 宝石の輝きを持つボタンが誰にも見つからず、ひっそりと咲織を待っていたのだ。 掛け替えのない秘玉を震える掌に握りしめ、間違いなく咲織は三宅と一体になる至福に包まれた。

「きっと見つけられると想っていました。 三宅さんの、いいえ、ご主人様の大切なものだから。 ご縁があるのならきっと見つけられると。 賭けてたんです。 でも、信じていました。 嬉しくて、叫んでしまいました。 ずっと好きだったんです、ご主人様のこと。 不思議だけど……。」
 と謂い掛けて、咲織は口を噤んだ。

 三宅の顔に嬉しそうな微笑みが広がるのを看て、咲織は安堵し、三宅の事を彼氏を愛情を込めて『あなた』と呼ぶのと同じ調子でご主人様と抵抗無く呼べた。

「そう?本当に?このおじさんのことを。 嬉しくなるね。 でも、もしそうならもっと早くに教えてくれれば…。」
「でも、ご存じ無かったでしょう。 私の事なんか、ボタンを見つけるまで。」

「ははは……。」
「ほら、私のことなんて、ご存じ無かったんですね。」

「おまえは、俺を何処で見つけたの。」
「エレベーターで。 初めて出社した日に。 お声を掛けて戴いたんですよ。 お忘れでしょうけど……。」
 咲織は、業と拗ねる素振りをした。

「ああ、思い出した。 ほんとだ。確かにおまえは、猟犬に見つかった子鹿のように怯えた顔をしたぞ。 その時に言い寄っておけば良かった。 何ヶ月も無駄にせずに済んだのに。 それとも、何かな。 その何ヶ月かが効いたのかな。 そうだろうな。」
 三宅は、思案顔で上辺を視詰めた。

『あの時は、本当に驚いた。 挨拶されたことも、いきなり新人さんと当てられたことも。 でも、別れた後に残った幽かな胸の疼きの方が驚きだった。 それが何かも、それがどうしてかも判らなかったの。 判りたく無かったのかも。 もう、ずっと遠ざけていたから。』

「そうですね。でも、それっきりだったんですよ。 声を掛けていただいたのは。 何度かすれ違っても、もう挨拶もして頂けませんでした。」
 咲織はちょっと恨みがましく謂った。

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